アコギ弾き語りアレンジのポイント

アコースティックギター弾き語りライブステージ

アコースティックギターを普段から弾いている方の中では、既存の楽曲をアコギ1本で演奏する時もあるでしょう。その中でもメジャーな楽曲のコピー、オリジナルソングのアコギバージョンなどライブにより様々だと思います。

今回は、楽曲をアコギ1本で演奏する場合のポイントを解説。アコースティックアレンジのアイディアをご紹介していきます。

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原曲とアコースティックバージョン

まずアコースティックアレンジを施し、アコギ1本で弾きたい楽曲に使用されている楽器を理解しましょう(元々アコギ1本の編成、という場合もあるかと思います)。

原曲に使用されている楽器だけではなく、BPMやボーカルの多重録音など様々な要素を分析することで、アコギ1本で弾いた時とのギャップをイメージすることも大切です。

原曲の持つダイナミクス

原曲に使用されている楽器がアコギだけではなく、ドラム、エレキギター、ベース、ピアノなど様々な楽器が使用され、なおかつダイナミクスも大きい楽曲の場合だと、アコギ1本で弾いた時ではもちろん原曲との緩急が大きいです。

一方で、スローバラード調のピアノ1つだけで成り立つ楽曲などの場合、原曲との緩急は前者より小さくなります。

どちらが良いか悪いではなく、アーティストや編曲家たちが練りに練った楽曲をアコギ1本で演奏し弾き語る場合、イメージがガラッと変わってしまうのです。そこで楽曲のコードだけ抜きとりストローク一辺倒でジャカジャカ演奏した場合、聴く人によれば原曲の劣化版と感じられる恐れがあります。

アレンジアイディの選択

これはもちろん、バンドアンサンブルについてもいえることです。観客より原曲の劣化版と思われるくらいなら、余計なアコースティックアレンジはやる必要がありません。

そもそもなぜ楽曲をアコースティックアレンジするかというと、原曲とは違った雰囲気や世界観を表現し感じてもらうことが目的です。

もちろん、アレンジに正解はありません。あえて演奏方法をストロークOnlyに選択するということなら、選択の自由度は高いでしょう。しかし他にも選べる手段が多数あるのにも関わらず、持っている知識が少ないがために選択の幅が狭まっているのならとてももったいないことです。

アコギ1本でのアレンジポイント

続いては、アコギ1本で演奏するための具体的なアイディア見ていきましょう。最終的にはイメージから逆算し、アレンジアイディアを選択することがポイントとなってきます。

まずは楽曲が持つ、盛り上がりの波を掴むことから始めてみてください。

楽曲の盛り上がり曲線グラフ

楽曲には楽器演奏者とボーカリストが織りなす、盛り上がりの波があります。これはもちろん楽曲によって様々であり、その高低差も曲によりけりです。

わかりやすい例としまして、卓越した歌唱力を誇るAimerさんの『RE:I AM』では、盛り上がりの高低差がとても激しい楽曲となっています。このような楽曲の場合、曲の盛り上がりを曲線グラフとしてノートに書いてみましょう。

グラフの書き方は各々自由で良いですが、一番盛り上がっているセクションと一番盛り下がっているセクションを明確にすることがポイントです。

ストロークとアルペジオ

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楽曲が持つ盛り上がりの波を把握したら、次はそれぞれのピーク時に使用するギター奏法を選択します。ここでは平成最後の大ヒット、米津玄師さん『Lemon』を例に考察してみましょう。

『Lemon』では、イントロが静か、Aメロから徐々に盛り上がる、Bメロで少し盛り下がる、そしてサビで勢いを取り戻しまた盛り上がります。

これをアコギ1本で伴奏するとなったら、イントロはコードごとに2分音符のワンストロークで伸ばす、Aメロから8分音符でアルペジオ、Bメロではまた2分音符のワンストロークで伸ばす、そしてサビでは16ビートストロークで盛り上げる、というように盛り上がりの波に対してギター奏法を随時チェンジしていくことがポイントです。

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多くの楽曲にはメインテーマやリフと呼ばれる、曲のモチーフとなるメインメロディが存在します。メインテーマが使用されて箇所は、イントロやエンディング、間奏、または歌メロのバックで鳴っている場合も多々あり、楽曲により使用頻度は様々です。

メロディ単体を弾ければいいのですが、コード進行の雰囲気を出してくれるその他の伴奏楽器はなくアコギ1本という状況。そんな時に役に立ってくれるのが、ソロギターです。

伴奏を奏でながらもトップノートでメインメロディを演奏することによって、より楽曲の再現性を高めてくれます。しかしソロギター時においてもストロークと同等に近いダイナミクスが必要だと感じた場合は、自分のイメージを再現するための技術力が必要です。

ストロークを交えながらメインメロディを弾く、またはスラム奏法を使ってパーカッシブに弾くなど、ダイナミクスを稼ぐための奏法を考えなければいけません。もし技術的に「アルペジオを絡めながらのソロギターしかできない」と判断した場合は、楽曲が持つ盛り上がりの波を、ソロギター時に標準を合わせ考えなおすという選択も出てきます。

楽曲のテンポ(BPM)

多くのメジャーアーティストが取り入れる手法としまして、アコースティックバージョンでは少しテンポを落とすことも多いです。アコースティックアレンジでは、多くの楽器が使わる激しい曲であればあるほど、ダイナミクスが落ちてしまいます。

そこで楽器の選定だけではなく、原曲より少しテンポを緩やかにすることで楽曲の持つ雰囲気がガラッと変化し、また違った味が出るバージョンとして観客に感じてもらうことが可能です。さらにイントロではサビをフリーテンポで歌うなど、テンポだけではなく楽曲の構成を入れ替えることも多々あります。

楽曲のBPM、構成を考察することで、原曲とは違った世界観を生み出すことが可能です。

スラム奏法

スラム奏法と聞くと、ソロギターのイメージがあるかと思います。ですが弾き語り中にスラム奏法を取り入れることによって、ストローク奏法以上のダイナミクスを再現することが可能であり、表現の幅がグッと広がります。

基本的なスラム奏法は、1拍目と3拍目に右手掌底部分でサウンドホールの上部をヒット、2拍目と4拍目で右手親指または指全体を使用し低音弦をヒット。ドラムのバスとスネア音を再現しているわけですが、4拍目のバス音は8分音符で2回ヒット、左手の指を使って半拍3連のゴーストノートなど、スラム奏法はプレイヤーにより多岐にわたります。

例えば先駆者の1人でもあるペッテリ・サリオラさんは、それこそアコギ全体を打楽器として使用することで、アコギ1本とは思えない迫力で伴奏を奏でます。日常的にアコースティックギターを使用する方は、スラム奏法も覚えておいて損はありません。

ルーパーという手段もある

「どうしてもカラオケ音源で他の楽器サウンドを流したい」または「もう1人ギタリストが必要だ」など、アコギ1本だけでは再現できないイメージ、または現状の技術では厳しいと判断した場合もあるかもしれません。

しかし、ルーパーを使うことで解決する可能性があります。ルーパーとは、その場で瞬時に記録した音源をループ再生させることができるエフェクターです。

ギターの伴奏やメロディはもちろん、ボディをヒットさせたパーカッシブな音まで記録しループさせることができます。大ヒット映画「プラダを着た悪魔」の主題歌『Suddenly I See 』を歌うKTタンストールさんは、卓越したルーパー使いです。
アコギ1本とルーパーを使用することによって、スラム奏法と同様にバンドアンサンブルのような伴奏を奏でることができます。

メジャーアーティストのアンプラグド

多くの音楽指導者が声を揃えて、「色んな音楽を聴きなさい」といいます。しかしこの言葉には、付け足さなければいけない肝心な事が入っていません。

例えばホラー映画を見た場合、多くの人は恐怖という感情を娯楽として味わいます。しかし映画監督を目指す方では、キャストの演技、使用されているサウンドエフェクト、映像のカラーグレーディング、カメラワークなど、様々な事柄が研究対象です。

このことはミュージシャンにも当てはまり、ただ色々な音楽を聴くのではなく、研究対象として聴くことが大切となってきます。これはなにもCD音源に限ったことではなく、ライブ音源やライブ映像も参考となる対象です。

例えばアコースティックギターを主体とするメジャーアーティストは、ライブでは曲によりフルバンドではなくアコギ1本で演奏する時も多々あります。そのようなシーンを見た時は、楽曲の構成は変わったり省略されていないか、テンポに変化はないか、メインテーマはどのような奏法で再現しているか、Aメロ・Bメロ・サビでセクションごとにどのような奏法を使用しているかなど、音源や映像から様々な情報が発見可能です。

おわりに

今回は、アコースティックギター1本で弾き語りをするアレンジポイントをまとめました。伴奏に徹するギタリストの方はいいのですが、歌も同時に歌うシンガーソングライターの方は伴奏に気をとられ歌が雑になってしまわぬよう注意が必要となってきます。

アコギ1本で弾き語りをするという状況では、伴奏はなるべくパターン化し、無意識的に演奏可能な技術範囲に抑えておくことも大切です。また複雑な伴奏パターンで弾き語りをしたい場合でも、技術を細分化し訓練することで着々と運動神経が鍛えられていきます。

弾き語りのアレンジに正解はありません。その時に選択したアレンジが、もっともベストなアレンジです。