今回はアコースティックギターの【ピックアップ】について解説していきます。持っているアコギをエレアコに改造したい方・アコギをもっといい音で鳴らしたい方はぜひご覧ください。

【ギタリストマッスル出版】
アコギ・ピックアップの必要性
弦楽器であるアコースティックギターは、【弦を弾く⇨弦の振動がボディに伝わり共振⇨音が増幅】という構造で発音。小さな会場・自宅・ストリートライブなどでは、生演奏で十分な音量を稼げる場合もありますが、大きなライブハウス会場や音量が大きい他楽器とのアンサンブルをする場合では音量を適正値まで増幅させる必要があります。
最も手っ取り早い方法が、アコギにマイクを向けてセットするというものです。座って弾き語りをする場合などではこれで問題ないかもしれませんが、移動しながら演奏したい場合には対応できません。また他楽器がいる場合ではマイクがアコギ以外の音も収音することで、ハウリングの原因になってしまうこともあります。
そこで登場するのが、アコースティックギター専用ピックアップです。アコギにピックアップを取り付けることでアンプから音を出したり、PA卓に信号を送ることが可能となります。ピックアップがついていないアコギにも、購入後に取り付けることでエレアコとして使用可能です。
アコギ・ピックアップの種類

アコギ専用ピックアップには3種類+1つのものがあります。ピエゾタイプ、マグネットタイプ、マイクタイプ、そしてハイブリットタイプのピックアップです。
ピックアップは自分で取り付けを試みるよりも、ギターを購入したお店、または行きつけの工房にお願いすることをおすすめします。
ピエゾ・ピックアップ
■FISHMAN(フィッシュマン)/AG-125:サウンドハウス
市場で販売されているエレアコに、最も多く搭載されているのがピエゾ・ピックアップです。ブリッジサドルの下にピエゾ素子が組み込まれたピックアップを設置することで、ピックアップがブリッジ・サドルから伝わる振動を電気信号に変換します。
自分で取り付ける際にはピエゾ・ピックアップの分だけ弦高が上がってしまうので、紙やすりでブリッジサドルを削ることが必要です。マイクで収音したような空気感は損なわれますが、ハウリングに強いことが特徴。
マグネティック・ピックアップ
■L.R.Baggs(エルアールバックス)/M80:サウンドハウス
続いてはマグネティック・ピックアップです。構造的には、エレキギターに使用されているピックアップと同様です。そのためスチール(鉄)弦は収音しますが、クラシックギターなどのナイロン弦を収音することはできません。
サウンドはピエゾ・ピックアップよりも柔らかく、ハウリングに強いです。なにより取り付けやすいことが特徴。
フィンガーピッカーとして有名な押尾コータローさんは、Greven(グレーベン)ギターにSunrise S-2というマグネティック・ピックアップを装着しています。
マイク・ピックアップ
■L.R.Baggs(エルアールバックス)/Lyric:サウンドハウス
続いてはマイク・ピックアップ。アコギのボディ内部に、高感度の小型コンデンサーマイクを取り付けます。そのためアコギ本来の空気感や高音域を、忠実に収音し出力することが可能です。
しかしマイクが他楽器の音を拾い、ハウリングを起こしやすいという傾向もあります。生音を忠実に再現したいという方におすすめです。
ハイブリット型・ピックアップ
■L.R.Baggs(エルアールバックス)/Anthem:サウンドハウス
最後は2種類の収音方法を持つハイブリット型・ピックアップです。世界各国の著名プレイヤーが使用する「L.R.Baggs Anthem」では、小型マイクとピエゾ・ピックアップが搭載できます。またマイク、ピエゾ2つの音量をMIXし、その比率も調性可能。
普段はマイク・ピックアップとして使用し、アンサンブル時にハウリングが起これば、ピエゾ・ピックアップの比率を徐々に上げるという使用法もできます。
■FISHMAN(フィッシュマン)/Rare Earth Mic Blend:サウンドハウス
FISHMAN社の「Rare Earth Mic Blend」では、マグネッティック・ピックアップと小型マイクが搭載されています。L.R.Baggs Anthem同様、Rare Earthにおいてもマイク、ピエゾ2つのMIX比率は調性可能です。
おわりに
【ギタリストマッスル出版】
アコギを購入する際に、エレアコかどうかも考慮する要素の1つです。しかし気に入ったアコギにピックアップが装着されていなくても後々取り付けることができるので、それを考慮すれば予算に合わせて選択肢の幅が広がるはずです。
エレアコではないという理由で購入候補から外すこともないので、ぜひお気に入りのアコギ・お気に入りのピックアップを見つけてください。