今回は、ジャズギターにおいても頻繁に使用される【オルタード・スケール】について解説し、ギター指板上のボックスポジションも加えてご紹介します。
オルタードスケールとは、メロディックマイナースケールの7番目の音から派生する、ドミナント(不安)系スケールです。
キーをCメジャーと考えた場合、ダイアトニックコード上でのドミナントコードはG7(Ⅴ7)になります。
今回はこのG7コードを取り上げて解説していきます。
ソ、ラ♭、ラ#、シ、ド#、ミ♭、ファ
不安のドミナントコード
キーがCメジャーの楽曲で、G7→CM7というドミナントコードからトニック(安定)コードへ解決するコード進行があった場合、G7コード上で使用できるスケールは、もちろんCメジャースケール(ドレミファソラシ)と考えられます。
ここでG7コードのコードトーン(コード構成音)を見てみましょう。
ルート・・・ソ
メジャー3rd・・・シ
パーフェクト5th・・・レ
マイナー7th・・・ファ
さらに、コードトーンと同時に使用して、一種の緊張感を感じさせることのできるノンコードトーンであるテンションノートも確認していきましょう。
9th・・・ラ
11th・・・ド
13th・・・ミ
*コードネームに対して追記される、G7の7や、または(11)や(13)は、ルート音に対してのインターバル(音の距離)、つまり度数を表しています。
一見すると9th音はルート音より1音(全音)高い音なので、2ndと表記されそうですが、コードの近いところで2ndの音を弾くと、ルートとぶつかり濁りやすいということで、通常は1オクターブ高いところで弾くため、9thという表記になります。
テンションをオルタード(Altered/変化した)
G7コードのテンションを確認してみると、ラ、ド、ミとなっています。
実は、G7コードからCM7コードへ進行する上で、G7コード上でテンションであるラ、ド、ミを弾くと不安感が薄れてしまいます。
キーがCメジャーにおいて、ラは暗く落ち着く音、ドは1度の音で明るく落ちく音、ミも明るく安定度の高い音です。
そのため、不安感が薄れてしまい、ドミナントコードのG7からトニックコードのCM7に向かうドラマチックさは減少してしまいます。
そこで緊張感を演出するため、テンションを半音ズラすという発想が生まれました。
ラ、ド、ミを半音ズラすことで得られるテンションは次の4音です。
【ラ♭、ラ#、ド#、ミ♭】
*13thを半音上げるとm7thになるので除外します。
この半音ズラす行為を”オルタード”(Altered)と言い、この半音ズラしたテンションをオルタード・テンションと言います。
これらのオルタードテンションをG7(ドミナントコード)上で使用することで、非常に高い不安感を演出することできるということです。
そしてこのオルタードテンションを、G7のコードトーンに組み合わせたのがGオルタードスケール(オルタード7thスケール)になります。
オルタードスケールの構成音
オルタードスケールの構成音はこうなります。
構成音・・・Tonic、♭2nd、#2nd、3rd、#4th、♭6th、♭7th
使用コード例・・・マイナー7th♭5、ドミナント7th
これをGオルタードスケールで考えるとこうなります。
構成音・・・ソ、ラ♭、ラ#、シ、ド#、ミ♭、ファ
Gオルタードスケールを見てもらうとわかる通り、パーフェクト5thの音であるレの音が無くなっています。
なぜ省略されているかと言いますと、5thの音であるレの音だけが、次のコードであるCM7の構成音へのインターバルは、どのコードトーンを見ても1音の移動になります。
ルート音であるソは、CM7のパーフェクト5thと同一ですが、スケールの主音として存在します。
そしてこのソ、シ、ファにオルタードテンションを加えたのが、Gオルタードスケールになります。
ギター指板のオルタードスケール
それでは実際に、ギターでオルタードスケールを弾いてみましょう。
今回は、使用しやすいボックスポジションを3ノートエクササイズ(1弦につき3音)で2つご紹介します。
オルタードスケール/ポジション1
まずポジション1のオルタードスケールでは、6弦3フレットを左手人差し指で始めるボックスポジションです。
6弦 3f人差し指 4f中指 6f小指
5弦 2f人差し指 4f中指 6f小指
4弦 3f人差し指 5f薬指 6f小指
3弦 3f人差し指 4f中指 6f小指
2弦 4f人差し指 6f中指 8f小指
1弦 4f人差し指 6f中指 7f小指
オルタードスケール/ポジション2
ポジション2のオルタードスケールでは、5弦10フレットを左手人差し指で始めるボックスポジションです。
6弦 9f人差し指 11f中指 13f小指
5弦 10f人差し指 11f中指 13f小指
4弦 9f人差し指 11f薬指 13f小指
3弦 10f人差し指 12f中指 13f小指
2弦 11f人差し指 12f中指 14f小指
1弦 11f人差し指 13f中指 15f小指
おわりに
今回は、かなり緊張感の高いドミナント系スケールとして、オルタードスケールを解説しました。
エクササイズは無理に速く弾こうとする必要はありません。
オルタードのインターバルを意識して取り組んでみてください。