今回はヒットソングによく使用されるコード進行「カノンコード」を、変化させた進行パターンを解説していきます。
コード進行は全てCメジャー・キーで掲載。
ⅠM7 | CM7 | T |
Ⅱm7 | Dm7 | SDⓢ |
Ⅲm7 | Em7 | Tⓢ |
ⅣM7 | FM7 | SD |
Ⅴ7 | G7 | D |
Ⅵm7 | Am7 | Tⓢ |
Ⅶm7♭5 | Bm7♭5 | Dⓢ |
*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

カノン・コードとは
カノンコードとは、ヒット曲で頻繁に使用されるコード進行です。そのコード進行がこちら。
■|Ⅰ |Ⅴ |Ⅵm |Ⅲm |Ⅳ |Ⅰ |Ⅳ |Ⅴ |
これをCメジャーキーで表すと、こうなります。
■|C |G |Am |Em |F |C |F |G |
この進行が8小節、または2拍づつのコードチェンジから4小節となり、ポピュラーミュージックではよく使用されるのです。
このカノンコードの名付け親となる曲が、誰もが一度は聴いたことのある『パッヘルベルのカノン』です。結婚式をはじめ、様々な場所でBGMとして使用されるクラシック定番曲。
カノン・コードから変化した進行パターン
それでは、このカノンコードが変化したコード進行パターンを見ていきましょう。お手元に楽器がある方は、ぜひ一緒に弾いてみてください。
カノン・コードとⅡ-Ⅴ
まず初めの変化型コード進行はこちら。カノンコード進行の7小節目が変化し、Ⅱ-Ⅴとなるパターン。Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)進行とは、終止形と呼ばれる解決に促す進行です。
ダイアトニック・コードの2番目(サブドミナント)から5番目(ドミナンント)へ進行し、1番目(トニック)へ解決します。この進行をカノンコードに組み込みために、FコードがDmコードへ置き換えられました。
カノン・コードとクリシェ
続いては、カノンコード進行にクリシェが取り入れたパターン。クリシェとは音楽理論用語で、コード進行の中に単音のラインを作ることです。ここではベース音がクリシェ。
ベースがC(ド)から下降していくクリシェとなり、終盤のⅡ-Ⅴへとつながっていきます。

カノン・コードから解決
続いては、カノンコード進行が解決するパターン。最終8小節目がGコード(ドミナント)ではなく、Cコード(トニック)へと変化しました。
Aメロで繰り返されるパターンなど、こちらもよく使用されるコード進行です。
カノン・コードとサブドミナントマイナー
続いては、カノンコード進行にサブドミナントマイナーが組み込まれたパターン。ここでは7小節目に♭Ⅶが使用。
サブドミナントマイナーとは、同主調のマイナーキーコードから機能がSDm(サブドミナントマイナー)コードを、曲中に借用したコードを指します。ここではCメジャーの同主調であるCmダイアトニックからの借用です。
■Cmダイアトニックコード
Ⅰm7 | Cm7 | Tm |
Ⅱm7♭5 | Dm7♭5 | SDmⓢ |
♭ⅢM7 | E♭M7 | Tmⓢ |
Ⅳm7 | Fm7 | SDm |
Ⅴm7 | Gm7 | Dm |
♭ⅥM7 | A♭M7 | SDmⓢ |
♭Ⅶ7 | B♭7 | SDmⓢ |
*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)
アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓十五の君へ~」や赤い鳥「翼をください」など、サビ部分で使用されることの多いパターン。

カノンコードとⅢ7
最後はカノンコード進行に、Ⅲ7が組み込まれた進行パターン。Ⅲ7とは平行調であるAm(Ⅵm)が変化した、Aハーモニック・マイナーダイアトニックのⅤ7を指します。Fコードに対する♭Ⅱ7として進行。
Ⅲ7はJ-POPにも頻繁に使用される、切なさを感じられるコードです。

おわりに
今回はヒントソングで頻繁に使用されるカノンコードを、変化させたコード進行パターンを解説しました。カノンコード進行の響きを覚えてしまえば、曲を聴いただけでカノンコード進行のどの部分が変化したパターンか瞬時にわかるようになります。
皆さんもぜひカノンコード進行の楽曲を分析してみてください。