【残酷な天使のテーゼ】コード進行解説

キレイな天使像

今回はアニソンの帝王、新世紀エヴァンゲリオンの主題歌「残酷な天使のテーゼ」のコード進行を見ていきましょう。
こちらの曲誰しも知ってるアニソンナンバーだと思います。

コード進行の持つ雰囲気がわかりやすく現れている曲でもあります。
それでは解説にいってみましょう。

作詞・及川眠子/作曲・佐藤英敏

コード進行

・イントロ
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ A♭M7 |
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |

・Aメロ
|E♭    |B♭    |Cm B♭ |A♭M7 |
|B♭sus4 B♭ |E♭sus4 Cm |Dm7   |Dm7/G G7 |

|E♭    |B♭    |Cm B♭ |A♭M7   |
|B♭sus4 B♭ |E♭sus4 Cm |Dm7   |G7    |

・Bメロ
|A♭M7   |Gm Cm |Fm B♭ |B♭m E♭ |
|A♭M7   |Gm Cm |Dm7♭5  |Dm7/G  G7 |

・サビ
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ E♭ |
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |

|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Gm B♭ Cm|

・間奏
|Cm7   |Cm7   |A♭    |A♭    |
|Cm7   |Cm7   |A♭    |A♭    |

|Fm    |Gm    |A♭M7   |Gm    |
|Fm    |Gm    |A♭M7   |B♭    |

|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |

・Aメロ2
|E♭    |B♭    |Cm B♭ |A♭M7  |
|B♭sus4 B♭ |E♭sus4 Cm |Dm7   |Dm7/G  G7 |

|E♭    |B♭    |Cm B♭  |A♭M7   |
|B♭sus4 B♭ |E♭sus4 Cm |Dm7   |G7    |

・Bメロ2
|A♭M7  |Gm Cm |Fm B♭ |B♭m E♭ |
|A♭M7  |Gm Cm |Dm7♭5  |Dm7/G  G7 |

・サビ2
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ E♭ |
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |

|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Gm B♭ Cm|

・Bメロ3
|A♭M7  |Gm Cm |Fm B♭ |B♭m E♭ |
|A♭M7  |Gm Cm |Dm7♭5  |Dm7/G  G7 |

・サビ3
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ E♭ |
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |

|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Gm B♭ Cm|

コード進行解説

この曲はキーがE♭です。平行調でいうとCmキーですね。
まず注目してほしいのがイントロの最後でのA♭M7です。
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ A♭M7 |

E♭メジャーダイアトニックコードのⅣM7です。Ⅳはサブドミナントで、少し不安な響きです。
このダイアトニックコードの4番目のⅣM7でイントロが終わり、この不完全燃焼感に乗せながらテンポも速くなり、曲がスタートしていきます。

イントロからなんやらダークなマイナー調で始まり、Aメロに入ったとたんE♭コードから始まります。
・Aメロ
|E♭    |B♭    |Cm B♭ |A♭M7 |

聴いてるとわかる通り、一気に明るさが感じられると思います。
ここで復習がてらにE♭メジャーダイアトニックを見てみましょう。

E♭M7 ⅠM7 T
Fm7 Ⅱm7 SDⓢ
Gm7 Ⅲm7 Tⓢ
A♭M7 ⅣM7 SD
B♭7 Ⅴ7 D
Cm7 Ⅵm7 Tⓢ
Dm7♭5 Ⅶm7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T/トニック・・・安定
*SD/サブドミナント・・・少し不安定
*D/ドミナント・・・不安定

E♭がⅠでトニック(安定)で、CmがⅥmのトニック代理(安定)です。
この曲では明るく落ち着く場面と、暗く落ち着く場面の2面性がわかりやすく表れています。
BメロでもⅣM7のA♭M7から始まり徐々に不安感を煽ってます。

|A♭M7  |Gm Cm |Dm7♭5  |Dm7/G  G7 |

続いてはDm7とG7です。
Dm7とG7は本来E♭メジャーダイアトニックコードには無いコードです。
Dから始まるコードで、あるのはDm7♭5です。

この2つのコードがどこからやってきたかというと、
Cmの同主調のCメジャーダイアトニックコードのⅡm7とⅤ7です。
この進行はⅡ-Ⅴ(ツーファイブ)進行と言います。

ここでCメジャーダイアトニックコードを確認してみましょう。

CM7 ⅠM7 T
Dm7 Ⅱm7 SDⓢ
Em7 Ⅲm7 Tⓢ
FM7 ⅣM7 SD
G7 Ⅴ7 D
Am7 Ⅵm7 Tⓢ
Bm7♭5 Ⅶm7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T/トニック・・・安定
*SD/サブドミナント・・・少し不安定
*D/ドミナント・・・不安定

本来ダイアトニックコードでGから始まるコードはGm7ですが、それがG7となり、また別の展開が起きそうな予感をさせます。
このG7はCmキーから見たらハーモニックマイナーのⅤ7で、E♭から見たらⅢ7です。

Aメロの終わりのG7は、CmでもCでもA♭M7へ進みます。
こちらは半音進行のドミナントです。

次にBメロです。
・Bメロ
|A♭M7  |Gm Cm |Fm B♭ |B♭m E♭ |
|A♭M7  |Gm Cm |Dm7♭5  |Dm7/G  G7 |

ここでもノンダイアトニックコードがあります。
B♭mです。Ⅴmとなります。

B♭mの次がE♭、そしてその次がBメロの折り返し地点のA♭M7です。
B♭m-E♭-A♭M7

こちらも部分転調してⅡ-Ⅴ-Ⅰとなっているのです。
ここでわかりやすいようにA♭M7のダイアトニックコードを見てみましょう。

A♭M7 ⅠM7 T
B♭m7 Ⅱm7 SDⓢ
Cm7 Ⅲm7 Tⓢ
D♭M7 ⅣM7 SD
E♭7 Ⅴ7 D
Fm7 Ⅵm7 Tⓢ
Gm7♭5 Ⅶm7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T/トニック・・・安定
*SD/サブドミナント・・・少し不安定
*D/ドミナント・・・不安定

ここで注目してもらいたいのが、ⅡmのB♭mとⅤのE♭です。
本来B♭だったところが、いい味を出しながらB♭mになり、E♭がドミナントとなってA♭M7へセカンダリードミナントをしているんです。

こちらもまた、A♭M7へのⅡ-Ⅴ進行となっています。
聴いている感じはB♭mとなったことで暗く聴こえますが、音が外れている感じはしません。
むしろ暗さがいい具合に馴染んでいます。

最後にサビも見てみましょう。
・サビ3
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ E♭ |
|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Cm |

|Cm Fm |B♭ E♭ |Cm Fm |B♭ Gm B♭ Cm|

こちらはとくに変わったコード出てきていません。
Cmから始まり、E♭で落ち着き、またCmから始まるのを繰り返してます。

最後の終わり方としましては、まるでラテンダンスの足音が聞こえてきそうなキメでビシッと終わっています。
コードはCmで終わっていますね。

まとめ

今回取り上げた「残酷な天使のテーゼ」では、曲の構成はシンプルでしたけど、部分転調やコード進行の2面性、カッコいいキメ、もちろん間奏の持つ独特な雰囲気など、まだまだ様々な要素が盛り込まれています。