今回はポピュラーミュージック音楽理論について、これだけは知っておいてもらいたい「音楽理論」についてのまとめ編です。
ここを押さえるだけで、初心者の方は圧倒的な上達の手助けになるでしょうし、将来は音楽で生計を立てていきたいと思っているプロ志望の方は必見内容になっています。それに加え、楽譜も読めるように解説。
皆さんは楽譜を読んだことはあるでしょうか。ギター指板を元に反映された、tab譜(タブ)という6本の線から成る譜面があり、ギターをやっている方でよくある事例は、「tab譜は読めるけど、楽譜は読めない」という症状をよく耳にします。
そんな五線譜アレルギーの方に言いたいのは、楽譜が読めないのはただの「食わず嫌い」ということだけです。
実は楽譜は簡単に読めます。
一昔前では楽譜は読めるけど、tab譜は読めないというギタリストも大勢いました(とくにクラッシックギタリスト)。
今回はパッと譜面を見ただけで楽曲の根底を掴むための、これだけは知っておきたい「楽譜の読み方」も加えて解説していきます。

小節
まずは五線譜やtab譜を、楽曲が持つ基本的なリズムをわかりやすくするために、縦に規則的に区切った部分である『小節』についてです。
縦線
各小節を区切る線を「縦線(じゅうせん)」または「小節線」といいます。
複縦線
次にこちらが「複縦線」です。このように2本の線で区切られており、いくつかの小節による段落部分に引かれます。
ポピュラーミュージックでは、Aメロ、Bメロやサビの区切りの部分において使用。
終止線
そして楽曲の終わりに使用されるのが「終止線」です。
右側の線のみ太い、2本の線で引かれます。
拍子記号
小節を区切るための基本となる音符の種類と、1小節内に置かれるその音符の数とを組み合わせて分数のように表示したのが『拍子記号』です。
4/4拍子(四分の四拍子)
まずは4/4(四分の四拍子)です。私たちの普段耳にするポピュラーミュージックというのは、ほとんどの楽曲が4/4拍子で構成されています。表記は譜面上の第1小節。
一般的な楽曲が4/4拍子で構成されているため、英語の Common(一般的な)の頭文字を取って、第1小節目に 『 C 』という文字で表記する場合も多数あります。
4/4拍子とは、「4分音符が1小節に4つ入ります」ということを表した記号。つまり『音符の数/音符の種類』という式に、「4分音符が1小節に4つ」を代入しますと「4/4」になるのです。
3/4(三分の四拍子)
ポピュラーミュージックの楽曲で、4/4拍子の次に多いのが3/4拍子です。
BoAさんの「メリクリ」や、『千と千尋の神隠し』主題歌「いつも何度でも」など3/4拍子のヒット曲も数多く存在。
4/4拍子では1小節に4つの4分音符が入りますが、3/4拍子では3つの4分音符が入ります。
変拍子
4/4拍子の楽曲で、1部分だけ3/4拍子や2/4拍子の小節が挿入されている小節部分を「変拍子」といいます。
例えば、B’zの「今夜月の見える丘に」のサビ前では1/4拍子小節が挿入(またはサビ前の小節が4/5拍子)。
音符の種類
音符は種類により、それぞれ長さが違います。ギターtab譜などの場合は、数字の上に音符の棒や旗(符幹、符尾)がついて表記されることもあり。
4分音符&4分休符
まずは4分音符から解説します。拍の長さは、1拍分の長さです。BPM(beat per minute)という曲のテンポをあらわす時にも、基準にされている音符です。
どいうことかというと、例えば『♩=60』という表記は、1分間で60個の4分音符が入るスピードということになります。
『♩=60』という表記がされている楽曲だと、1秒に1回4分音符が鳴る計算。一方で音が休みの時を表す休符は、このような表記です。
こちらが4分休符で、4分音符と同じだけの長さの休符です。
全音符
全音符は、4分音符の4倍の長さになります。
拍の長さは4拍分であり、4分音符の長さの4倍の長さです。
こちらが全休符の表記です。楽譜でもtab譜においても、黒い四角の上に線がくるように表記されています。
2分音符
2分音符は、4分音符の2倍の長さになります。
つまり2拍分の長さの音符です。
こちらが2分休符です。全休符と似ていますが、黒い四角の下に線がくるように表記されています。
8分音符
一方、8分音符は4分音符の半分(1/2)の長さになります。
8分音符が2つで1拍分の長さです。
こちらが8分休符になります。
16分音符
16分音符は4分音符の1/4の長さになります。音符に生えている旗が8分音符は1つですが、16分音符は2つです。
16分音符が4つで1拍分の長さになります。
例えばこのような音符のつながりは(連桁)、真ん中の音符だけ8分音符で両端の音符が16分音符です。この3つで1拍分の長さになります。
こちらが16分休符です。
付点音符
付点音符は、『対象の音符×1,5倍』です。
4分音符に付点をつけた付点4分音符は、4分音符に8分音符を加えた長さ。
(♩.=♩+♪)
付点は休符にもつきます。
こちらは付点4分休符です。付点4分休符の長さは、4分休符と8分休符を合わせた長さになります。
音階と調号
続いては音階と調号についてです。
音階と調号が理解できれば、楽譜を見て瞬時に楽曲のキーを理解することも簡単にできます。さらに、コード進行からキー判別することも容易に可能です。
スケール
音階を英語名でScale(スケール)といいます。
世界で最も有名なスケールがドを主音とする『ドレミファソラシド』です。日本語表記では『ハニホヘトイロハ』となり、英語では『CDEFGABC』となります。
鍵盤楽器の白鍵のドから、白鍵のみをたどってできるスケール。楽譜上での『ドレミファソラシド』はこのようになります。
5番目の音符が「ソ」になりますが、日本語名では「ト」です。
左端にある記号は「ト音記号」と言いますが、ト音記号の中心となる部分が「ソ」にあたるように表記されます。
実は『ドレミファソラシド』は、イタリア語が元になっております。
日本語名は『ハニホヘトイロハ』で、英語では『CDEFGABC』です。
「ドレミファソラシド」は英語の「C」をとって、『Cメジャースケール(ハ長調音階)』呼ばれます。

きっと皆さんも音楽の授業で習ったと思いますが、音符は線と線をまたぎながら配置するのではなく、線の真上にも配置されます。
五線譜の線は下から順番に<第1線 第2線 第3線 第4線 第5線>と言い、第1線から第5線まである線同士の「間」は、下から順番に<第1間 第2間 第3間 第4間>と言います。
では上記の譜面上にて1番初めの「ド」がある線はなんと呼ぶかといいますと、「下第1線」といいます。反対に、第5線より上に出来た線は「上第1線」といいます。
インターバル(度数)
音と音の距離をインターバルといいます。Cメジャースケールのインターバルを見てみましょう。
ドから次の音のレの間にはド#(レ♭)があり、ドからレのインターバルは「全音(1音)」となります。このような関係を「M2nd(メジャーセカンド)」と呼び、日本語名は「長2度(ちょうにど)」といいます。
一方で、ミとファのように間に音のない関係は「半音」と呼び、インターバルはm2nd(マイナーセカンド)で、日本語名は短2度(たんにど)です。
ドからミは、全音の間隔が2つあります。インターバールはM3rd(メジャーサード)。
ドからファは、全音が2つと半音が1つです。インターバルはP4th(パーフェクトフォース)。日本語名では完全四度といいます。
ドからソは、全音が3つと半音が1つです。インターバルはP5th。
ドからラは、全音が4つと半音が1つです。インターバルはM6th。
ドからシは、全音が5つと半音が1つです。インターバルはM7th。
ドから次の高いドまでは、全音が6つとシからドも半音の関係なので半音が2つです。インターバルはP8thで、日本語名は完全8度です。この関係を『Octave(オクターブ)』といいます。
同じ高さのドとドのインターバルはP1st(パーフェクトファースト)で、完全1度です。
この関係を『Unison(ユニゾン)』と言います。
メジャースケールのインターバルでは、主音から数えて3番目と4番目、7番目と8番目の音同士が半音の間隔となります。

曲のキー
楽曲にはそれぞれ『調(キー)』があります。つまりキーの違いによってそれぞれ異なったスケールが基盤とされています。
Cメジャースケールを基盤とした楽曲のキーは、Cメジャーキーとなり、日本語名では『ハ長調』と言います。
一方でDメジャーキーの基盤となる、レから始まるDメジャースケール(レ ミ ファ# ソ ラ シ ド#)では、ファとドに#(シャープ)が付き、半音音程が上がっています。(#は半音上がり、♭は半音下がる)
譜面上ではト音記号の横に、ファとドとそれぞれの場所に#記号がつけられます。
「この楽曲に使用されているファとドには#が付いて半音上がります」という表記になります。

反復記号
続いてポピュラーミュージックの楽譜で出てくる『反復記号』です。
ここを押さえることで、楽譜を順番通りに読むことができます。
リピート・マークとカッコ
まずは「リピートマーク」です。こちらは皆さんも目にすことが多いのではないでしょうか。
リピートマークと共に並行して使用されるのが、1番カッコと2番カッコです。
上記の図では、1番カッコへ進行し、リピートマークで繰り返し(7と表示された小節へ)。そして次は1番カッコを演奏せずに、2番カッコへ進行します。
多くのポピュラーミュージックで、楽譜上での使用例では、歌の1番の終わりから2番のAメロへ戻る時にリピートマークが使用。
ダル・セーニョ(D.S.)とコーダ(Coda)
リピートマークの次に使用される反復記号は「ダルセーニョ(D.S.)」と「コーダ(Coda)」です。
まず五線譜の下部に表記された「D.S.(ダルセーニョ)」から「セーニョマーク(7と表示された小節)」へ戻ります。
次に「8」の小節の終わりにある「to Coda」から「Coda(9と表示された小節)」へ進行。
多くのポピュラーミュージックで、楽譜上での使用例では「D.S.」でサビを繰り返し、「Coda」でエンディングへと進行していきます。
速度記号
音楽記号の中には、速度を表す記号もたくさんあります。ここではポピュラーミュージックの譜面でも、多く使用される速度記号である「rit.」と「フェルマータ」の2つを解説。
ritardando(リタルダンド)
こちらが「rit.」です。リットと呼ばれ、正式名称は「ritardando」。
“次第に遅く”という意味を持ち、譜面上では度々エンディングの終盤部分で使用されます。
Fermata(フェルマータ)
次にこちらが「フェルマータ」です。一定のテンポを指定の部分で一時的に中断し、音符または休符の上に表記されます。
中断後に「a tempo(前のテンポで)」が用いられることもありますが、”延長記号”などとも呼ばれ、楽譜最終小節の全音符にて使用されることが多いです。
コード(和音)
最後に『コード(Chords)』。コードとは、音の「和音」です。
例えばCコードでは、ドとミとソの3つの音で構成。
Cコードの主音(ルート)のドから見たインターバルは、ミがメジャー3度で、ソが完全5度。
一方でCmコードは、ドとミ♭とソの3音です。
CコードとCmコードの違いは3度の音が、メジャーかマイナーの違い。
つまり
・1度+メジャー3度+完全5度=メジャーコード
・1度+マイナー3度+完全5度=マイナーコード
となります。
・レ+ファ+ラ=Dmコード
・ソ+シ+レ=Gコード
ダイアトニック・コード
1つのスケールから構成されるコードの集まりをダイアトニックコードといいます。
Cメジャースケールから成るダイアトニックコードはこちらです。
C | ド ミ ソ |
Dm | レ ファ ラ |
Em | ミ ソ シ |
F | ファ ラ ド |
G | ソ シ レ |
Am | ラ ド ミ |
Bm♭5 | シ レ ファ |
コードの構成の規則性は、1音飛ばしづつ音が積み重なっていること。
Bm♭5コードの後ろについている「♭5」とは、ルートのシから5度のファまでのインターバルが、完全5度より半音足りないからです。
シからファは、全音が2つと半音が2入っています。(シとド、ミとファ)
よってインターバルは減5度(dim5th)となり、その場合は「♭5」という表記が追尾。全てのキーにおいて、ダイアトニックコードの7番目のコードには「♭5」がつきます。
そして、ダイアトニックコードは、その順番をローマ数字(ディグリーネーム)に当てはめて表記します。
Ⅰ | 1度メジャー |
Ⅱm | 2度マイナー |
Ⅲm | 3度マイナー |
Ⅳ | 4度メジャー |
Ⅴ | 5度メジャー |
Ⅵm | 6度マイナー |
Ⅶm♭5 | 7度マイナー♭5 |

コード進行
楽曲ではコードが変わりながら進行していきます。ダイアトニックコードには、それぞれのコードに対して機能がついており、コード進行の持つ雰囲気の要因。
Cメジャーダイアトニックコードを見てみましょう。
Ⅰ | C | T(トニック) |
Ⅱm | Dm | SDⓢ |
Ⅲm | Em | Tⓢ |
Ⅳ | F | SD(サブドミナント) |
Ⅴ | G | D(ドミナント) |
Ⅵm | Am | Tⓢ |
Ⅶm♭5 | Bm♭5 | Dⓢ |
*ⓢ・・・代理
「トニック」・・・安定した響き
「サブドミナント」・・・少し不安な響き
「ドミナント」・・・不安な響き
例えば『完全終止』という<Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ>というコード進行があります。
Cメジャーキーですと<Dm→G→C>というコード進行です。
コードの機能は<サブドミナント→ドミナント→トニック>となり、少し不安な響きから、さらに不安な響きへ進行し、安心するコードで終わるというコード進行です。(曲の終わりなどで使用される)
このようなコード進行だけではなく、ヒット曲に共通するコード進行もたくさんあります。

おわりに
今回は音楽理論の全体像を、はじめの一歩としてまとめました。さらに理解を深めるために、自分の好きな曲の楽譜を使って分析してみてください。きっと新しい発見ができるはずです!