今回はギターの醍醐味の一つ、カッティングについて解説していき、さらにカッティングの基本をマスターするための練習フレーズをご用意しました。
カッティングと言えば、ストロークプレイでコード鳴らす時に、音を短く切りながらも、ゴーストノートと言われる「チャカッ」といった音を織り交ぜながらプレイするギターテクニックの1つです。
カッティングの名前通り、音を切りながら演奏します。
派手なギターソロで観客を魅了させるのもいいですが、カッティングこそが聴き手をリズムの渦に誘い込むギターテクニックです。
カッティングができるようになれば相乗効果で他の技術力も上がります。
・ギターの伴奏が上手くなる
・ギターソロのリズムが安定する

カッティングギターの音作り
今回のカッティングフレーズに入る前に、エレキギターでカッティングプレイをする上での音作りは、基本的にクリーントーンで行います。
アコースティックギターでプレイする方は気にしなくて大丈夫です。
アンプをクリーンチャンネルに合わせて「GAIN(歪み)」は上げ過ぎなようにしましょう。
チャキッとしたサウンドを出したい方は「MIDDLE(中域)」も抑えめでセッティングしてください。
*アンプセッティング例
エレキギター側のピックアップは、今回はフロントピックアップまたはセンターピックアップにセットします。
音作りにおいて大切なことは【正解】がないということを知っておくことです。
ライブ会場の違い、ライブハウスの設備環境、観客の人数、アンプの種類、ギター本体のセッティング、ピックの種類、プレイヤーの特性、様々な要因がサウンドに影響してきます。
さらにはステージ上で聴いている音と、観客席から聴こえているサウンドも変化します。
まずはご自身でセッティングを色々と試してみましょう。
ある程度のサウンドが出来上がったら、本番での環境によってセッティングに変化を加えてみてください。
リズム感を上げるカッティング練習フレーズ【基礎編】
メトロノームを持っていない方は、お持ちのスマートフォンやタブレットからアプリストアで無料のメトロノームアプリのダウンロードをお願いいたします。
ギター初心者の方がカッティングを練習する際に使用するピックは、慣れるまで0.6mm~0.8mmまでの薄さのピックをおすすめします。
あまりに分厚すぎるピックでは、カッティングの際に腕にかかる負担が大きいため、力任せのフォームになりかねません。
カッティングの名手であり音楽プロデューサーのナイル・ロジャース氏は、0.6mmのJim Dunlop製のピックを愛用しているとインタビューで答えています。
それでは練習フレーズにいってみましょう。
リズム感が上がる練習フレーズ16分音符【ブラッシング】
*赤矢印がダウンピッキング、青矢印がアップピッキング
まずはこちらの練習フレーズからです。
左手は全ての弦に触れて音が出ないようにミュートし、右手で上下に弦をブラッシングします。
ピッキングは1拍に4つある16分音符に対して、1番最初がダウン、2番目がアップ、3番目がダウン、4番目がアップになります。
16分音符2つ分の長さが8分音符に相当する音符の長さですので、8分音符おきにダウンピッキング、と覚えておいても良いです。
メトロノームのテンポは、初めは60に合わせましょう。
BPM60(♩=60)ということは、1分間に4分音符が60個入るということです。
つまり4分音符の1/4(四分一)の長さの16分音符が、♩=60だと0,25秒に1回鳴るという計算です。
練習に取りかかる前に、メトロノームをセットしたら16分音符を口ずさんでみましょう。
メトロノームが4分音符に合わせて「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」と鳴っている時に「タカタカ、タカタカ、タカタカ、タカタカ」という風に口ずさみながら16分音符を感じることから始めてみてください。
次に「タカタカ、タカタカ、タカタカ、タカタカ」に合わせて、腕の空振りも付けてみましょう。
さらにメトロノームが「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」と鳴っているのに合わせ、「タカタカ」の初めの「タ」にインパクトを持ってくるようにし、「タカタカ、タカタカ、タカタカ、タカタカ」と4分音符を意識しながら取り組んでみてください。
イメージトレーニングが終わりましたら、実際にギターを抱え練習フレーズをやってみてください。
このイメージトレーニングは実際の練習と交互にやるのがおすすめですし、フレーズを口ずさむことは、ギターソロやメロディを覚える時にも有効です。
実際にピックを持ってプレイする時は、腕だけではなく、手首のスナップも効かせながらプレイすることを忘れないでください。
慣れてきましたら続けてプレイできるようにしましょう。
リズム感が上がる練習フレーズ16分音符【ブラッシング】2
続いての練習フレーズもブラッシングになります。
次のブラッシングでは、1~3弦だけを狙ってプレイします。
左手のミュートは変わらずに、右手で持つピックが1~3弦だけにヒットするように心がけてください。
このように高音弦だけ狙ってカッティングできるようになると、サウンドのバリエーションが広がりますので、ぜひ身につけましょう。
1番初めの16分音符を弾くカッティングフレーズ
ここからはブラッシングに交えて、実際にコードを押さえて音を鳴らしていきましょう。
こちらのカッティング練習フレーズパターン1は、16分音符の1番最初の音符を鳴らし、あとは全てブラッシングします。
使用するコードはE7(9)コードです。
E7のM9thにあたるファ#が、E7コードに付け加えられたコードになります。
詳しくは【インターバル・トレーニング】をどうぞ。
E7(9)コードの押さえ方はこちらです。
まずはルートの5弦7フレットを左手中指で押さえ、4弦6フレットを人差し指、3弦から1弦の7フレットを薬指でセーハします。
5弦7フレットを押さえた中指の先で6弦を触れながら、6弦開放の音が出ないようにミュートしましょう。
次に、こちらの押さえ方でE7(9)コードを押さえ、ピッキングする時はあくまで1~3弦を狙ってカッティングです。
力を入れて押さえているのは1~3弦だけど、他の弦をミュートするためにもコードフォームはキープしましょう。
パターン1のフレーズに対しても口ずさむことを忘れてはいけません。
このパターン1の場合ですと「チャツツツ、チャツツツ、チャツツツ、チャツツツ」というように、音符を声に出してみてください。
まずはテンポ60、または思いっきりテンポを下げてから練習してみてください。
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
2番目の16分音符を弾くカッティングフレーズ
続いては16分音符の2番目の音符をアップピッキングで弾く練習フレーズです。
こちらもゆっくりとしたテンポで始め、メトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「ツチャツツ、ツチャツツ、ツチャツツ、ツチャツツ」
リズムをとるのが難しい方は、拍の頭の「ツ」にインパクトをもたせリズムをとってみてください。
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
3番目の16分音符を弾くカッティングフレーズ
続いては16分音符の3番目の音符をダウンピッキングで弾く練習フレーズです。
2回ブラッシングをした後にダウンピッキングを1回、その後にアップピッキングでブラッシングを1回するのが1拍分になります。
つまり8分音符の裏に音を捉えるということです。
こちらもメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「ツツチャツ、ツツチャツ、ツツチャツ、ツツチャツ」
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
4番目の16分音符を弾くカッティングフレーズ
そして4パターン目が16分音符4番目の音符をアップピッキングで弾く練習フレーズです。
ピッキングはダウン、アップ、ダウンと3回ブラッシングしてから、アップピッキングでコードを鳴らします。
こちらもメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「ツツツチャ、ツツツチャ、ツツツチャ、ツツツチャ」
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
基礎編まとめカッティングフレーズ
基礎編の最後です。これまでやってきた4パターンの複合型となります。
1拍目はパターン1、2拍目はパターン2、3拍目はパターン3、4拍目はパターン4です。
今までイメージしてきたサウンドを頭の中でつなげてみましょう。
「チャツツツ、ツチャツツ、ツツチャツ、ツツツチャ」
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
初めは難しいかもしれませんが、ゆっくりのテンポから始め、頭の中のイメージと実際に鳴っているメトロノーム音をリンクさせることから始めてみてください。
カッティング練習フレーズ【応用編】
ここからはギターカッティングの応用編になります。
カッティングの様々なパターンが組み合わさり、さらにスライドやテンションを付け加えていきます。
定番カッティングフレーズ1
最初はこちらです。1拍目は3番目の16音符をダウンピッキング、2拍目は2番目の16分音符をアップピッキング、3拍目は1番目の16分音符をダウンピッキング、さらに4番目の16分音符をアップピッキング、4拍目はダウンアップを交互にブラッシングです。
こちらはポピュラーミュージックでよくあるカッティングパターンですので、ぜひ覚えておいてください。
まずはメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「ツツチャツ、ツチャツツ、チャツツチャ、ツツツツ」
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
定番カッティングフレーズ2
こちらが定番カッティングフレーズ2になります。
1拍目は1番初めの付点8分音符をダウンピッキングで弾いて、ブラッシングをせずに音を伸ばします。
そして4番目の16分音符をアップピッキングで弾きます。
ピックを持つ右手の振りは、弦を弾いてない時も空振りをしながらリズムをとっておきましょう。
2拍目は3番目の16分音符をダウンピッキング、3拍目は2番目の16分音符をアップピッキング、4拍目は1番目と2番目の16分音符をダウンアップと弾いて、2回ブラッシングです。
こちらもポピュラーミュージックでよくあるカッティングパターンですので、ぜひ覚えておいてください。
まずはメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「ターッタ、ツツチャツ、ツチャツツ、チャチャツツ」
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
スライドを入れたカッティングフレーズ
続いてはカッティングフレーズにスライドを取り入れます。
1拍目の最初の16分音符が半音下がったE♭7(9)コードからの始まりです。
2番目の音符に位置する8分音符に向けて左手薬指を押さえたままスライドします。
そのまま4番目の16分音符まで音を伸ばし、アップピッキングで4番目の16分音符を弾きます。
2拍目はダウンアップと2回ブラッシングを入れてからダウンピッキングで8分音符を弾きます。
ダウンピッキングで8分音符をピッキングするので、その次に右手の空振りを入れるとリズムが取りやすいです。
3拍目は2番目の16分音符をアップピッキング、4拍目は1番目と2番目の16分音符をダウンアップと弾いて、2回ブラッシングです。
カッティングにスライドを取り入れると一気にフレーズにカッコよさが出てきますので、ぜひ習得してください。
まずはメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「タアーッタ、ツツチャ 、ツチャツツ、チャチャツツ」
慣れてきましたら、何度も続けてスライド感覚を手に覚えさせましょう。
James Brown風カッティングフレーズ
続いてはファンクの帝王ジェイムズ・ブラウン風カッティングです。
2拍目までは全て8分音符です。コードもブラッシングもダウンピッキングで弾きます。
この時のコードを弾く時に、音にインパクトを持たせながら、8分音符より音を短くきるように弾くとさらに切れ味が増します。
3拍目ではE7(9)コードにM6thのド#を加えたコードが始まりです。
この1弦9フレットが加わったコードをダウンピッキングで弾いて、4番目の16分音符まで音を伸ばします。
そして4番目の16分音符は1弦9フレットが外れたコードにになり、これをアップピッキングで弾きます。
4拍目はダウンアップと交互に4回ブラッシングです。
まずはメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「チャ ツ、チャ ツ、ターッタ、ツツツツ」
慣れてきましたら続けてプレイしてみましょう。
Doobie Brothers風カッティングフレーズ
続いてはドゥービーブラザーズ風のカッティングフレーズです。
コードはEm7を使います。
1拍目の出だしは左手人差し指で5弦7フレットから1フレットまでをベタッと寝かせてセーハで押さえ、ダウンピッキングで弾きます。
2番目の音符に位置する8分音符に向かって、中指で2弦8フレット、薬指で4弦9フレットに向かってハンマリングで押さえます。
この時はハンマリングで音を出すのでピッキングはしません。
そして1拍目の最後に4番目の16分音符でアップピッキングで弾きます。
2拍目はダウンピッキングで1番初めの8分音符を弾いて、ダウンアップと16分音符をブラッシングです。
3拍目はダウンアップと16分音符をブラッシングしてダウンで8分音符をピッキングします。
4拍目はダウンピッキングで1番初めの16分音符を弾いて、次の8分音符は小節の初めに出てきた5弦7フレットからセーハしたコードフォームをアップピッキングで弾き、最後の16分音符もアップピッキングで弾きます。
こちらも最初は難しいかもしれませんが、まずはメトロノームに合わせて自分なりに口ずさんでみましょう。
「チャラーチャ、チャンツツ、ツツチャー、チャチャーチャ」
慣れてきましたら何度も続けて、2音同時のハンマリングの感覚を掴みましょう。
レッチリ風単音カッティングフレーズ
続いてはRed Hot Chilipeppers風の単音カッティングフレーズです。
低音弦のカッティングも出てくるので、指先や指の腹でミュートします。
コードはEm7です。
左手指使いは、5弦7フレットを人差し指、3弦7フレットを中指、3弦9フレットを小指で押さえます。
右手のピッキングに合わせて押さえるのですが、押さえない時もつね他の弦をミュートしながら指を待機させます。
単音をブラッシングを交えてカッティングで弾くことによって、フレーズに勢いが増します。
1拍目は8分音符で5弦7フレットをダウンピッキング、次の8分音符の3弦7フレットもダウンピッキングです。
2拍目頭の8分音符の3弦9フレットもダウンピッキングし、次の16分音符の5弦7フレット、最後の16分音符の5弦7フレットをダウンアップで弾きます。
3拍目はブラッシングの間に2番目の16分音符の3弦7フレットをアップピッキング、4番目の16分音符の3弦9フレットもアップピッキングします。
4拍目はダウンアップを交互にブラッシングします。
こちらも最初はメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「タッ タッ、ターツツ、ツタッツタッ、ツツツツ」
単音カッティングができるようになると、かなりカッティングの幅が広がり楽しくなってくるはずです。
半拍3連を入れたカッティングフレーズ
最後は半拍3連を入れたカッティングフレーズです。
実際に曲中や、演奏現場で使用することはめったにありませんが、アドリブをする時や一味違うカッティングで攻めたい時は良い飛び道具になってくれます。
使用するコードはE7(9)です。
1拍目の1番目の16分音符はダウンピッキングで、そしてアップダウンとブラッシングを入れて、4番目の16分音符をアップピッキングで弾きます。
2拍目はダウンアップと交互にブラッシングを4回です。
3拍目はピッキングが変わります。
半拍3連(3つで8分音符の長さ)のブラッシングではダウン、アップ、ダウンと弾いて、次の8分音符をアップピッキングで弾きます。
そして4拍目はコードを弾いたら1フレットに向かって、7フレットからグリッサンドで音を流します。
まずはメトロノームに合わせて口ずさんでみましょう。
「チャツツチャ、ツツツツ、ツクツチャー、チャーン」
こちらは基礎編、応用編をマスターしてから練習してみてください。
自分でカッティングパターンを考える
ここでの応用編カッティングフレーズがテンポ80くらいで簡単に弾けるようになったら、今まで習得してきたカッティングパターンをご自身で組み合わせてみてください。
最終的には、あなたオリジナルのカッコ良いカッティングフレーズを作ることが目標です。