今回はこれからソロギターを始めたい方に向けて、ソロギターを演奏する上での思考法、クラシックギタリストとの違い、そして実践的なソロギターエクササイズを解説していきます。
フィンガーピッキング(指弾き)初心者の方でも取り組みやすいエクササイズとなっていますので、ピックでしかギターを弾いていなかった方や、ギターを買って間もない方もぜひチャレンジしてみてください。
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ソロギターとアルペジオの違い

コードを押さえて、弦をバラバラに弾くアルペジオ奏法。一見ソロギターととても似た演奏形態ですが、アルペジオ奏法とソロギターは大きく違いがあります。それは、アルペジオはあくまで伴奏であるということです。
一方で、ソロギターには楽曲の中心となる主旋律(メロディ)があります。そして名前の通り、伴奏とメロディを、ギター1本で同時に演奏する形態です。
ソロギターは楽曲やアレンジによって難易度が高いものもありますが、決して選ばれた人材しか演奏できないということはありません。ソロギターを演奏する運動神経を徐々に鍛えていくことで、着々とレベルアップしていくことはたしかです。
クラシックギタリストとアコースティックギタリスト

またクラシックギターの演奏においてもソロギターを奏でることはありますが、アコースティックギターを主体するギタリストとは違いがあります。まずギターを構えるフォーム、そして右手のピッキングです。
クラシックギターではネックを握り込むのはNG
クラシックギタリストは左足を台に乗せて、その上がった左足の上にギターを乗せます(左利きの方は逆)。対してアコギストの場合は、反対に右足です。そのためギターのネックが、自分の身体から斜め45度方向に出ているようなフォームとなります。
このフォームの違いによって、クラシックギターではタブーとなっている握り型のFコードフォームが可能となりました。クラシックスタイルではネックを握り込むように押さえる6弦ルートのコードフォームは、必ずといってよいほどしません。
クラシックギターのフォームでは、ネックが身体と向かい合っている関係です。そのため左手親指を軸としたスムーズな演奏がしやすいというメリットがあります。
またクラシックギターにはナイロン弦が使用されており、ナイロン弦は振動幅が大きいため、弦高も高めにセットされています。
フィンガーピッキングの違い
また右手で行うフィンガーピッキングにおいても、細かな点で違いがあります。クラシックギタリストがギターを弾く時は爪を使ってピッキングしますが、アコースティックギタリストではプレイヤーによって様々です。
クラシックギタリスト同様、右手だけ爪を伸ばしているプレイヤーもいれば、爪と指先を同時に使う方、爪は使わず指先だけでピッキングする方など、ピッキング方式は決して固定化されていません。
ソロギター入門エクササイズ
それでは、これより実践的なソロギター入門エクササイズを行っていきます。ギター初心者の方でも取り組みやすいフレーズとなっていますので、日々のウォーミング・アップにも最適です。
ソロギター・エクササイズ1
まずはこちらのエクササイズ。最初にローポジションのCコードを押さえてください。5弦3フレットを左手薬指、4弦2フレットを中指、2弦2フレットを人差し指で押さえ、3弦と1弦は開放。
そして使用する右手の指は親指だけです。右手の親指を使って、コードのベース音を捉える感覚を養いましょう。このエクササイズでは5弦と4弦を交互にピッキングします。
リズムよく弾けるようになったら、何度繰り返し弾いてみましょう。
ソロギター・エクササイズ2
続いてはこちらのエクササイズ。右手親指の動きは変わりませんが、1拍目にCコードのコードトーンである、3弦開放と2弦1フレットを同時につま弾きます。右手人差し指と中指または中指と薬指の組み合わせ、どちらでもかまいません。
慣れてきましたら、こちらも繰り返し弾いてみましょう。
ソロギター・エクササイズ3
続いてはこちら。エクササイズ2でプレイしたピッキングスタイルと同じですが、ここではコードが3つ追加されました。
Gコードは6弦3フレットを左手薬指、2弦3フレットを小指で押さえ、4弦と3弦は開放。
Amコードは4弦2フレットを左手中指、2弦1フレットを人差し指で押さえ、5弦と1弦は開放(薬指で3弦2フレットを押さえず、次の動作へ向けて準備)。右手は中指で2弦、薬指で1弦をピッキングします。
最後はFコードです。ここではぜひ握り込み型でFコードを押さえてみましょう。左手親指でネックを握り込むように6弦1フレットを押弦、4弦3フレットは薬指、3弦2フレットは中指、2弦1フレットは人差し指で押さえます。この時に4弦3フレットを押さえた左手薬指の先で、余計な音が出ないように5弦に触れてミュートしておきましょう。
ソロギター・エクササイズ4
続いてはこちらのエクササイズです。ソロギターの伴奏となるベースラインは大きく変わっていませんが、メロディラインが変化しました。メロディとベースを同時に弾くのが難しいという方は、どちらか一方だけをまずは練習してみましょう。
ベースとメロディを同時に弾く箇所が多いので、次の指移動を意識しながら取り組んでみてください。はじめはゆっくりのテンポで弾いてみましょう。
ソロギター・エクササイズ5
続いてはこちら。エクササイズ4とメロディラインは同じですが、ベースラインに8分音符が登場しました。3弦と2弦を同時にピッキングする時は、右手人差し指と中指、または中指と薬指の組み合わせでピッキングしましょう。
GコードとAm7コードの小節1~2拍では、ベース音を3弦まで右手親指でピッキングしてもOKです。また、Am7コードとFコードの小節4拍目では、onコード(分数コード)になっています。ベース音のチェンジだけではなく、コードの切り替えも意識して弾いてみてください。
ソロギター入門課題曲「マッスル・エチュード」
それでは最後に、ソロギター入門総まとめとして『マッスル・エチュード』に挑戦してみましょう。目標テンポはBPM80です。
使用されているコード進行は、世界中で愛されるカノン・コード。多くのヒットソングに使用されているコード進行ですので、ぜひ響きを意識しながら演奏してください。
「マッスル・エチュード」/ギタリストマッスル出版
おわりに
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今回はこれからソロギターを始めたい方に向けて、ソロギターを演奏する上での知識、そして実践的なエクササイズを解説しました。
ソロギターを始めてみると、今まで押さえたことのないようなコードフォームや、ピッキングの指使いにおいて苦戦することも出てきます。しかしその経験がストックされていき、徐々にソロギターに対する対応力が上がっていくことは間違いありません。
蓄積されたテクニックはソロギターを弾くためだけではなく、バックバンドとしてのギター伴奏やエレキギターのテクニック上達にもつながっていきます。
そしてなんといっても、ソロギターは究極の1人遊びでもあるのです。演奏は1人で完結でき、楽曲をマスターした時の喜び、または好きな楽曲をソロギターアレンジをする過程など、テクニックと知識が積みかさなっていくほど楽しくなっていきます。ぜひソロギターを始めてみてください。