米津玄師【灰色と青】簡単コードでギター初心者でも弾ける

米津玄師の灰色と青

今回もまた、コード進行の謎をわかりやすく解説していきながら、曲の雰囲気を壊さずにコード進行を簡単にしていきます。
今回取り上げる楽曲は、米津玄師さんと菅田将暉さんが歌う「灰色と青」です。

「灰色と青」は曲のテンポも速くないので、ギター初心者の方でも取り組みやすい曲かと思います。アコギで弾き語りにも良い1曲です。

簡単コード一覧も掲載していますので、ぜひ音楽理論の理解を深めつつ、演奏のクオリティも上げる手助けができたらと思います。

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それでは、コード進行解説にいってみましょう。

コード進行解説&コードを簡単にする

まずはコード進行を見ていきながら解説、そしてコードを簡略化していきたいと思います。
4小節のイントロのコード進行をチェックしていきます。

・イントロ
|Eadd9/G#  Aadd9|B   C#m |
|Eadd9/G#  Aadd9|B  Eadd9|

曲のキーはEメジャーキーになります。

カポタスト

ギター初心者の方にも演奏しやすいように、カポタストを用意してください。

まずはカポタストを4フレットに装着してください。
そうすることによってギターのチューニングが『#4』されたことになります。
カポタストが付いていない状態のギターのレギュラーチューニングは、6弦からミ、ラ、レ、ソ、シ、ミとなっています。
これがカポタストを4フレットに付けた状態では、6弦からソ#、ド#、ファ#、シ、レ#、ソ#となります。
つまり4フレットにカポタストをつけて原曲を演奏するには、ギターで演奏するキーを『♭4』しなければなりません。
それでは、カポタストを4フレットに付けた場合のコード進行を見てみましょう。
*イントロ(カポ4)
|Cadd9/E  Fadd9|G   Am |
|Cadd9/E  Fadd9|G  Cadd9|
カポタストを4フレットに付けることによって開放弦を多用できるようになり、簡単に演奏することができるようになったと思われます。
カポタストを4フレットに付けることによって、演奏するキーがEメジャーキーから、Cメジャーキーになりました。
それでは、カポタストを4フレットに装着した、プレイキーCで解説を進めたいと思います。

add9コードとは

それでは、イントロのコード進行をもう一度確認してみましょう。

*イントロ(カポ4)
|Cadd9/E  Fadd9|G   Am |
|Cadd9/E  Fadd9|G  Cadd9|
まずは「add9(アドナインス)」の説明からしていきます。
「add9コード」とは、対象のコードにメジャー9thを付け足したコードです。
つまり、メジャー9th=メジャー2nd(セカンド)となります。
例えばCadd9でしたら<Cコード+メジャー9th=Cadd9>となります。
4和音のコードです。
Cadd9 ド ミ ソ + レ

Cadd9コードのギターでの押さえ方は、6弦は鳴らさずミュートで、中指を5弦3フレットのド、人指し指を4弦2フレットミ、3弦は開放弦のソ、2弦は薬指で3フレットのレ(add9コードトーン)、小指で1弦3フレットのソを押さえます。

Fadd9コードの場合は、親指で6弦1フレットのファ、5弦はミュートで鳴らさない、薬指で4弦3フレットのファ、3弦は開放弦のソ(add9コードトーン)、人差し指をベタッと寝かせて2弦1フレットのドと、1弦1フレットのファを押さえます。

実はFadd9はもう1つ押さえ方があります。親指で6弦1フレットのファ、5弦はミュートで鳴らさない、までは変わりませんが、中指で3弦2フレットのラ、人差し指で2弦1フレットのド、小指で1弦3フレットのソ(add9コードトーン)を押さえます。

このコードフォームだと、6弦にルートがくるコードフォームのどのポジションでもadd9コードとして対応できます。
つまり6弦のコードのルートを押さえている親指を2フレットずらせば、Gadd9コードとなります。

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クリシェ

もう1度イントロのコードをチェックしてみましょう。

*イントロ(カポ4)
|Cadd9/E  Fadd9|G   Am |
|Cadd9/E  Fadd9|G  Cadd9|
Cadd9のコードがonコード(オンコード、分数コード)となっています。
onコードとは、<コード+ルート音>ということを意味します。
ここでベーシストがいると仮定して、あなたがCadd9コードを弾いている時に、ベーシストがミを弾いたら、Cadd9/Eというコードに変化します。
ちなみにミ(E)は、Cコードのメジャー3度の音です。
ではなぜわざわざメジャー3度の音をルート音(コードの1番低い音)にするかと言いますと、コード進行に対してクリシェという動きを付け加えることができるからです。
クリシェとは、音楽理論用語で、コード進行の中に単音のラインを作ることです。
「灰色と青」のイントロ2小節のコード進行のルート音の動きは、E→F→G→A、つまり、ミ→ファ→ソ→ラ、となっています。
クリシェを取り入れることによって、コード進行がより滑らかに、よりスムーズに進んでいくというプラスαが実現します。
もしアコギ1本でクリシェの動きを取り入れたかったら、Cadd9コードを押さえる時に、中指で6弦に当たらないように気をつけましょう。
https://guitarist-muscle.com/cliche/

dimコード(ディミニッシュコード)

次に対策するコードはdimコードです。
ここではAメロのコード進行をチェックしてみましょう。

*Aメロ(カポ4)
|Cadd9/E Fadd9|G  Am |
|Cadd9/E Fadd9|G  G#dim|

|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|

*2/4・・・四分の二拍子

Aメロでは、G#dimというコードが使われております。
G#dimコードは、Cメジャーダイアトニックコードにはありません。
*Cメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 CM7 T
Ⅱm7 Dm7 SDⓢ
Ⅲm7 Em7 Tⓢ
ⅣM7 FM7 SD
Ⅴ7 G7 D
Ⅵm7 Am7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 Bm7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

ではこのG#dimコードがどこから登場したかといいますと、Aハーモニックマイナーダイアトニックコードより登場しました。
ちなみに、CメジャーキーとAmキーは平行調です。

*Aハーモニックマイナーダイアトニックコード

ⅠmM7 Am7 Tm
Ⅱm7♭5 Bm7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7#5 CM7#5 Tmⓢ
Ⅳm7 Dm7 SDm
Ⅴ7 E7 D
♭ⅥM7 FM7 SDmⓢ
Ⅶdim G#dim Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)

つまりG#dimコードは、次のコードのAmコードに行くためのドミナントコードだったのです。
しかもコード進行は
|Cadd9/E Fadd9|G  G#dim|Am  Fadd9|

コードのルート音が、ミ→ファ→ソ→ソ#→ラ、という動きでクリシェになっています。

AハーモニックマイナーダイアトニックコードではG#dimコードの機能はドミナント代理です。
不安定な響きとなっています。
ドミナントコードのE7と、ドミナント代理のコードのG#dimのコードトーン(コードの構成音)を比べてみましょう。

E7 ミ ソ# シ レ
G#dim ソ# シ レ ファ

ミとファ以外はコードトーンが同じです。
つまりG#dimコードのところでE7コードを弾いたとしても、機能的にも響き的にも、さほどの差はありません。

しいて言うなら、ソ→ソ#→ラ、というクリシェの動きができなくなってしまうことがデメリットですが、ここではなるべく簡単に押さえることのできるE7を代用コードとして採用しましょう。

G#dimコードはE7コードに変更

マイナーキーのⅣ7

次はBメロでD7のコードが登場しています。

|Fadd9  G |Am  Cadd9/E|
|Fadd9  G |Am  Cadd9/E|

|Fadd9  G |G#dim  Am |
|D7  G  |Fadd9  Cadd9|

|Cadd9    |(2/4)Cadd9 |

*2/4・・・四分の二拍子

こちらもCメジャーダイアトニックコードには無い、ノンダイアトニックコードです。
ここでのD7とは、Cメジャーキーに対してはⅡ7コードとなっています。

ではこのD7がどこから登場したかと言いますと、AメロディックマイナーのⅣ7から登場しました。

*Aメロディックマイナーダイアトニックコード

ⅠmM7 Am7 Tm
Ⅱm7 Bm7 SDmⓢ
♭ⅢM7#5 CM7#5 Tmⓢ
Ⅳ7 D7 SD
Ⅴ7 E7 D
ⅥM7 F#m7♭5 Tmⓢ
Ⅶm7♭5 G#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

このD7の機能はサブドミナントとなり、少し不安定な響きです。
曲中ではメジャー7thコードの持つ切なさが上手く感じられます。

さらに次のコードがGコードとなっています。
これはGコードに対して、ドミナントがかかっています。つまりGコードをトニック(Ⅰ)と仮定した場合、ドミナント(Ⅴ)コードはDです。

米津さんの楽曲ではよく、ハーモニックマイナーや、メロディックマイナーからのコードが上手く取り入れられ、曲に生かされています。

サブドミナントマイナー

続いては2番のサビ終わりのBridge部分で、Fmコードが登場しています。

|Dm  Am |E7  Am |
|Fadd9 G |Am  G   |

|Dm  Am |E7  Am |
|Dm  Cadd9/E|Fadd9  Fm6/G#|

|Fm6   |        |

こちらのFmコードもCメジャーダイアトニックコードにはありません。
ではどこから登場したかといいますと、同主調のCmダイアトニックコードから登場しました。
*Cmダイアトニックコード
Ⅰm7 Cm7 Tm
Ⅱm7♭5 Dm7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 E♭M7 Tmⓢ
Ⅳm7 Fm7 SDm
Ⅴm7 Gm7 Dm
♭ⅥM7 A♭M7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 B♭7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

Fmのコードの機能はサブドミナントマイナーです。
以前も解説しましたが、暗く不安定なサブドミナントマイナーコードは、様々なポジションで活躍する、とても万能なコードです。数々の名曲、ヒットソングに多用されています。
使用例としましては、「灰色と青」の曲のようにセクションの終わりに出てくることもありますし、SDの代わりとしてSDm→D→T、SDm→Tというようなコード進行も見られます。
または、SD→SDm、という風に変化させるパターンもあります。
サブドミナントマイナー使用例
*キーCメジャー

・|Fm(A♭)  G  |C      |

・|F  Fm |C      |

・|Dm7♭5  G |C      |

*Fm6とDm7♭5の構成音は同じ

Fm6 ファ ラ♭ ド レ
Dm7♭5 レ ファ ラ♭ ド
さらにここではより初心者の方にも演奏しやすいように、クリシェの動きも取り払って、onコードを無くすコードを表記します。
*例
Aメロ(カポ4)
|Cadd9/E Fadd9|G  Am |
|Cadd9/E Fadd9|G  G#dim|

|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|

|Cadd9  Fadd9|G  Am |
|Cadd9  Fadd9|G  E7  |

|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|

コード進行がシンプルになり、かなりスッキリしたかと思います。
クリシェが持つ音楽的表現は失いましたが、これでも十分コード進行の持つ魅力は伝えられます。
それでは、簡単コード一覧をチェックしてみてください。
・カポタストは4フレットに装着
・G#dimコードは、E7コードで代用
・クリシェのベースラインの省略化
・コードのテンションは省略しても可(例:Cadd9→C)

弾き語り簡単コード

*原曲キーEメジャー
*カポタスト4フレット/プレイキーCメジャー
作詞作曲:米津玄師/歌:米津玄師・菅田将暉
・イントロ
|Cadd9/E  Fadd9|G   Am |
|Cadd9/E  Fadd9|G  Cadd9|
・Aメロ
|Cadd9  Fadd9|G  Am |
|Cadd9  Fadd9|G  E7  |

|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|

|Cadd9  Fadd9|G  Am |
|Cadd9  Fadd9|G  E7  |

|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|

・Bメロ
|Fadd9  G  |Am  Cadd9|
|Fadd9  G  |Am  Cadd9|
|Fadd9  G  |E7  Am |
|D7   G   |Fadd   Cadd9|
|Cadd9    |(2/4)Cadd9 |
・サビ
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Fadd9  G  |Am    |
|Fadd9  G  |C      |
・間奏
|Cadd9/E  Fadd9|G   Am |
|Cadd9/E  Fadd9|G  Cadd9|
・Aメロ2
|Cadd9  Fadd9|G  Am |
|Cadd9  Fadd9|G  E7  |
|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|
|Cadd9  Fadd9|G  Am |
|Cadd9  Fadd9|G  E7  |

|Am  Fadd9|G  Cadd9|(2/4)Cadd9|

・Bメロ2
|Fadd9  G  |Am  Cadd9|
|Fadd9  G  |Am  Cadd9|
|Fadd9  G  |E7  Am |
|D7   G   |Fadd   Cadd9|
 
|Cadd9    |(2/4)Cadd9 |
・サビ2
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Fadd9  G  |Am    |
 
|Fadd9  G  |C      |
・Bridge
|Dm  Am |E7  Am |
|Fadd9 G |Am  G   |

|Dm  Am |E7  Am |
|Dm  Cadd9 |Fadd9  Fm |

|Fm    |        |

・サビ3(静か)
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
・サビ4
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Am  Fadd9|G  C  |
|Fadd9  G  |Am    |
 
|Fadd9  G  |C      |
・Bridge2
|Dm  Am |E7  Am |
|Fadd9 G |Am  G   |
|Dm  Am |E7  Am |
|Fadd9 G |C        |
・Ending
|C   F   |G   C   |

演奏ポイント

もし弾き語りされる時に、原曲キーの音域で歌うのがツライと感じるようでしたら、試しにカポタストを2フレットに移動してみてください。

これで原曲キーから『♭2』になったことになります。
カラオケでの『-2』と同じです。

もう1つのポイントは変拍子が入っていること。
こちらの「灰色と青」は4/4(四分の四拍子)の曲です。それに対して2/4(四分の二拍子)の箇所があります。

4/4の小節では、4分音符に対して「1、2、3、4」とカウントしますが、2/4の小節では「1、2」と2拍分だけカウントしましょう。
初心者の方は、初めは変拍子に慣れるとこから入っていき、慣れてきたら歌も追加するのが良いと思います。

ギターを弾きながら歌えないという方は、ギターの演奏をなるべく無意識的に行えるように練習してみてください。

出てくるコードの押さえ方などに気をとられるのでは、歌にも影響が出てきます。
逆もしかりで、自分がイメージしているピッチで歌えていないと、歌に気をとられギターの演奏にも影響が出てきます。

初心者の方で、1日でも早く弾き語りをマスターしたいという方は、まずはギターの練習と歌の練習は分けて、ギターの演奏をマスターしてから、ギターで伴奏をしながら頭の中で歌のメロディをイメージします。

次に、ギターで伴奏をとりながら頭の中で歌のメロディをイメージできるようになったら、軽め目でいいので口ずさんでみてください。