ジャズ・ギターとは?/はじめてのジャズ理論

アドリブを弾くジャズギタリスト

ギターを始めて2~3年経ち「ジャズとは?」と疑問を持った方、ロック・ギターばかり弾いてきたけどジャズに挑戦してみようと考えている方。
今回はそんな敷居の高いイメージのある、【ジャズ・ギター】について解説していきます。

一概にジャズと言っても、ミュージシャンによって様々な考えがあり、とても奥深いジャンルであることは間違いありません。
ここでは「ジャズ入門」として、いくつかのテーマを扱っていきます。

ジャズの特徴

基本的に現代でいうジャズとは、過去に発表されたいくつものジャズ・スタンダード曲を元に、ミュージシャンがアドリブ・ソロをプレイしていくという形式です。いわゆる”ジャム・セッション“と呼ばれているモノです。

そのためジャズ・スタンダード曲を覚えていること、アドリブの思考力があること、演奏中に今”どこ”にいるかが把握できていることなど、ジャズ・セッションをプレイする上で様々な能力は必要になります。これを聞くと「やはりジャズを演奏するのは難しいのか」と思われるかもしれません。ですがしっかりジャズの基盤を作り、ジャズの思考法を磨いていけば、必ずと言っていいほどプレイにも反映されていきます。

楽譜は五線譜

まずジャズの楽曲において、基本的にギター専用のtab譜は使用しません。なので楽譜は読めたほうが良いに越したことはありませんが、様々なギター教則本が出版されている現代では、ジャズ・スタンダードを扱ったセッション用の教則本も数々出版されています。


ギタリストのためのジャム・セッション・レパートリー曲集 (ジャム・セッションが体験できるCD付) (Guitar Magazine)

多くのセッション現場では、大抵「黒本」「白本」と呼ばれるジャズ・スタンダードの楽曲が掲載された大型本があり、ジャズ・ミュージシャンも必須のアイテムです。もちろんこちらの中身は、五線譜で記載された楽譜となっています。


ジャズ・スタンダード・バイブル セッションに役立つ不朽の227曲 CD付き

プロとして活動するギタリストの中にも楽譜が読めないというプレイヤーもいるほどで、多くの方が楽譜アレルギーを克服できないのが現状です。ですが楽譜を読むための音楽理論の知識と、演奏するための基礎テクニックを身に着けてゆけば、楽譜を読むことは決して苦な作業ではありません。

ただ楽譜を読むことを、少し難しく考えすぎている方が多いのが現状です。楽譜を読むことは本を読むこと、または数学の問題を解くことと似ています。つまり対象の情報空間を読み取る能力が必要となります。書籍であれば活字空間、数学であれば数学の世界を臨場感を持って感じることが大切です。

楽譜を読むトレーニングとしまして、「リーディング」という練習法をご紹介します。まずは皆さんが好きな楽曲の楽譜を購入しましょう。初めは楽曲のキーがCメジャーもしくはGメジャーなど、#や♭が少ない楽曲から選んでみてください(楽曲が移調された楽譜でも問題ありません)。

楽譜が決まったら、最初はゆっくり目のテンポを決めてメロディの音符を弾いてみましょう。慣れてくればAメジャーやE♭キーの楽曲にもチャレンジしていってください。徐々に頭の中にネットワークが形成されていくはずです。

ロックとジャズの違い

続いてはロックとジャズの違いについて解説していきます。この2つはギターの演奏においてかなり変わってくるジャンルです。

まずロックっぽさと出す演奏テクニックとしまって、チョーキング奏法などを駆使して演奏する時には、出る音が#する傾向にあります。つまりチョーキングを上げ過ぎてしまっているということです。勢いよくチョーキングしたまたま上げ過ぎてしまったプレイヤーもいれば、わざとロックっぽさを出すために目的の音程より#させるプレイヤーもいます。

一方、ジャズの演奏においてはどちらかといいますと♭する傾向のほうが多いです。むしろジャズではチョーキングよりスライド奏法のほうが多用されます。

とくにギターソロにおいては、違いが顕著ではないでしょうか。ロックやポップスにおいては、耳に馴染みやすいメジャースケール、またはペンタトニックを多用し、口で歌えるようなフレーズが多いです。

一方ジャズでは、プレイヤーがなんのスケールを使用しているかわからないような複雑なギターソロが連発されます。とくにハーモナイズを使用したチャーチモード・スケールでの響きや、オルタード・スケールの響きは少しいびつに感じるかもしれません。

セッションの入門

続いては、実際にセッションの現場でプレイするために、レベルアップするための練習法をご紹介します。まずはセッションに慣れることが最優先です。

まずは2人でブルース

最初にご紹介するトレーニング方法は、ジャズの起源といわれるブルースを使って”2人でブルースセッションをする“という方法です。もちろんお互いの楽器でギターでかまいません。まずブルースの進行はAブルースを使用し、使用するスケールはAマイナー・ペンタトニックだけを使用してプレイします。

こちらは「アドリブギターの思考法」においても同じでありますが、まずはペンタトニック・スケールを駆使して、自由にアドリブソロを演奏できるという状態を目標にいたしましょう。もちろんバックで鳴っているコードを意識しながらプレイしてみてください。そのためにも、ブルースのコード進行を頭の中で再現できるほど聴きこむことも大切です。

耳コピだけではなく目コピも

現代ではYouTubeをはじめ、動画配信サイトでプロの演奏を無料で視聴することが可能となりました。一昔前では、メジャーなギタリストのフレーズを耳コピして演奏するという練習方法がとられていましたが、現在は動画でプレーを見ることが可能なので、指使いから筋肉の使い方まで、細部にわって研究することが可能です。

ベテランと呼ばれような年代にいるギター講師は耳コピを薦めてくるでしょうが、現代においては耳コピ+目コピも加えるべきであります。これはスポーツ選手が一流アスリートのプレーを見るように、さらに活発なイメージトレーニングを行うためにも、演奏動画があるなら視聴すべきであります。

ブルースにいたっては、B・Bキング、エリック・クラプトンン、ジョン・メイヤーなど、様々な著名アーティストの動画がYouTubeにアップされていますので、時間が許す限り視聴して研究しましょう。盗みたいフレーズがあれば、耳コピをしながら対象のプレイヤーが使用している運指も参考にコピーしてみてください。