皆さん曲やフレーズを覚える時、または資格試験などの内容を覚える時、もっと効率よく覚えられたらと思ったことはありませんか?
とくにミュージシャンやアーティストと記憶力は切っても切り離せない関係にあります。
つねに新しいフレーズを考え出し、つねに新しいテクニックや曲を覚えなければなりません。
もちろんボーカリストの方でも、歌詞を覚えたり、フレーズのメロディラインを覚えたりと、楽器演奏者と同じく記憶力は大事になってきます。
・中々練習時間を多く取れない人
・効率いい記憶力を手に入れて、資格試験などに生かしたい人
記憶とは?
まず記憶には2種類あります。
・短期記憶
・長期記憶
短期記憶とは、一時的に記憶を維持しているもので、脳の海馬という場所に蓄えられます。
海馬の記憶は数日間保つものもあれば、その日のうちにすぐ消えてしまうものもあります。
記憶をする過程で、短期記憶から長期記憶への定着を決めつける要素があります。
・睡眠
・重要性
・アウトプット
睡眠
睡眠には2種類のサイクルがあります。
・ノンレム睡眠
・レム睡眠
睡眠はこの2つが、およそ90分のサイクルを繰り返すことで成り立っています。
ノンレム睡眠とは、脳も身体も眠っている状態で、この時に成長ホルモンが分泌され、細胞の修復活動をします。
次の日にベストパフォーマンスをするために、しっかりとノンレム睡眠を取らなければ、前日の疲れが取れないということになってしまいます。
しかし、記憶にとって大事なのはレム睡眠のほうです。
レム睡眠とは、「Rapid Eye Movement」の頭文字のREMをとったもので、急速眼球運動を意味します。
睡眠時に、眼球がグルグル動き浅い眠りの状態です。
レム睡眠時に、海馬と脳の他の部位で情報のやりとりがされ、記憶の整理、定着、合成、が行われます。
それによって夢を見るときもレム睡眠時です。
長期記憶として定着させるために、神経回路を張り巡らす作業が夢として知覚されます。
レム睡眠中は、身体は休息していますが、脳は記憶の定着を進めるために活発に活動しています。
海馬が持つ短期記憶と、これまでの長期記憶を照らし合わせ、定着化する短期記憶を選び分けているのです。
情報の重要性
では何をもって長期記憶への定着化を選び分けているかといいますと、重要性が鍵となっています。
対象の短期記憶が新しく、かつ重要だと判断されれば長期記憶への定着が促されます。
逆に、長期記憶と同じような記憶で、もうすでに知っている内容であればそこで消去されてしまいます。
つまり、脳に早く記憶を定着させるには、脳に重要であると認識させることが大事なのです。
そこで重要性を増すためにはどうするかといいますと、まずは対象をしっかりと認識することです。
認識自体の階層が深くなるから、重要性が高いと脳に思わせる可能性が高くなります。
例えば、英単語を覚える時に、アルファベットの文字の羅列だけを覚えるだけではなく、単語の発音や、他の単語や文章での関係性、使われる状況まで、記憶する時と同時に理解することが重要です。
ギタリストの方で、ギターソロなどを覚える時は、曲のキー、使われているスケール、運動としての指使いまでも、同時に理解しましょう。
もう1つは脳は失敗駆動型だということ。
人類はこれまで、失敗を恐れ、危険回避のため、記憶することによって絶滅を避けてきました。
資格試験対策ですと、模擬試験などで間違えた箇所などはとくに覚えると思います。
ミュージシャンの方たちですと、まずは日頃の練習に、覚えているかどうかをチェックしましょう。
このチェックし、間違えるとゆう作業を繰り返すことによって、新たに認識する箇所も増え、脳も重要だと判断します。
ここで1つ落とし穴があるのですが、もう大丈夫だと思ってからチェックすること。
何度も何度も失敗していればそのイメージが記憶に定着します。
ですがこの問題の解決策はイメトレをうまく取り入れることで解決するので、イメトレと平行して行うようにしてください。

アウトプットすること
先ほどのチェックする作業もアウトプットに入りますが、本番でのアウトプットは、またさらに記憶を定着させる要素の1つです。
本番と言っても、ライブでのパフォーマンスなのか、資格試験なのか、または生徒への指導なのか、それは人によってそれぞれです。
仮にあなたが先生として、生徒に指導するとしましょう。
そうするとあなたの脳内では情報をわかりやく指導するため、情報のまとめ作業が行われるはずです。
つまり本番を何度も繰り返すことによって記憶の定着は進んでいきます。もちろんイメトレによる疑似的な本番もアウトプットの1つです。
GM式 実践編5選
ここでは実践編として、今日から取り入れることのできる記憶術を紹介していきます。まずはすぐ取り入れられる事から、徐々に取り入れていってください。
睡眠の質を高める
睡眠を促すホルモンとして知られているメラトニンというホルモンがあります。
メラトニンの分泌量によって眠気や目覚めがきます。
就寝時にメラトニンを分泌させるには日中に光に当たっておくことが必要です。
光を浴びた、およそ15時間後に分泌が始まります。
朝8時に行動を開始した人ですと、22時~23時には分泌が始まるでしょう。
逆にメラトニンが抑制されると、少しずつ覚醒に向かいます。
抑制の原因となるのは光が大きい元です。
朝寝起きで、カーテンを開け朝日を浴びると目が覚めるのは、脳内のメラトニンが消えるからです。
ということは、深い眠りにつくため、睡眠中に光を浴びることは避けなければいけません。
そのために、
・アイマスク
・遮光カーテン
・照明器具のOFF
・携帯電話、スマートフォンのチェックの禁止
などは必要事項です。
寝る前にお酒を飲んでから寝るという人もいますが、これも絶対禁止。実際にはアルコールを飲むとドーパミンが出て興奮状態になり、眠りが浅くなります。
ドーパミンなどの覚醒ホルモンでいうと、カフェインやニコチンも原因となります。
アルコールを飲んで寝てしまうのは、神経系の麻痺からくるもので、決して深い睡眠に入っているのではありません。
脱水症状や、二日酔い、細胞の十分な回復の妨げの原因になります。
・寝る前のお酒、コーヒーは禁止
次に先ほど解説した、レム睡眠とノンレム睡眠について。個人差がありますが、脳の機能を高め、記憶の定着を促すためには、この2つのサイクルを2回はとる必要があります。
レム睡眠90分×2+ノンレム睡眠90分×2=6時間
つまり最低でも、2回目のレム睡眠の終わりに起きる、ということを目標にしたいです。
最初の眠りに入るまでの30分、覚醒するまでの30分、合計1時間ほど余裕を見ておいて、できたら6時間から7時間は睡眠にあてたいところです。
・最低でも6時間睡眠
睡眠の妨げる要素として、音も重要です。脳は無意識で音を聞いています。
とくに工事や車の雑音がうるさくて眠れない人は、耳栓をおすすめ。夜型の人は、昼間寝ているので特にアイマスク、遮光カーテン、耳栓は必需品です。
・雑音が入ってくる人は耳栓をつける
以前「免疫力」でも解説しましたが、入浴も睡眠の質を高めるためにプラスになってくれる要素です。
人間の体温は、表面の体温と、身体の深部の体温の2つに分けられます。
夜になって深部体温が下がることによって、眠りにつきやすくなるのです。

冬眠している動物が体温を低下させることで、エネルギー消費を節約しているように、夜になり睡眠時の人間の深部体温が下がるのもエネルギー保存のためと考えられています。
規則正しい生活を送っていれば、夜になると自然に深部体温も下がりますが、ストレスや不規則な生活を続いたりすると、深部体温が下がらず眠りにつきにくくなります。
そこで有効なのが入浴です。熱めのお湯に短時間だけ浸かることで、血液循環が行われ、表面体温が温まり、熱を放散し始めます。
結果として、熱がスムーズに下がっていきます。
完全に低下しきるまで2~3時間なので、帰宅後の食事前の入浴がおすすめ。
逆に食事後の入浴は、消化不良の原因になりますので、おすすめできません。
・短時間の熱いお湯の入浴
睡眠がいかに大事か理解できたと思います。ライブや、本番、試験の前日での徹夜は逆効果です。
・徹夜はしてはいけない

あらかじめ予測する
先ほど、脳は失敗駆動型だと解説しました。そこでチェック作業をする時に大事なことがあります。
あらかじめに本気で予測をたててチェックをすること。
本気で立てた予測が裏切られることで、脳が知らなかったとなり、記憶の定着が深まります。
チェック作業のあとは、必ず確認と、いいイメージトレーニングをして終わりましょう。
認識を深める
あらかじめの予測作業の前に取り掛かりたいのが、認識を深める作業です。
先ほども言ったとおり、英単語学習では、スペルだけではなく発音、他の単語や文章との関係、使われる状況なども一緒に記憶しましょう。
楽器演奏者ですと、対象の曲やフレーズの音楽理論的解釈、運動としての指使い、メロディラインだけではなく同時になっている楽器のニュアンスまで、一緒に記憶することを心がけてください。
慣れないうちは、不随して覚えることを1つずつ増やしていくことが大切です。
演奏者の方で、ここぞというときのソロパート対策では、まずメロディラインを覚えて、頭の中で流せることが大事です。それに合わせて、指の動きまでイメージします。
「イメトレ実践編」でも解説しましたが、周りの状況、他の楽器隊の演奏もイメージできると、なお記憶の定着ははかどります。
視覚フル活用
見ることの重要性はイメトレ解説でも度々言ってますが、記憶とも深い関係があります。
ミュージシャンや楽器演奏者の方ですと、自分でいいイメージを作り出せない方は、いい手本となるプレイヤーを見つけて、見ることから始めるのが最適です。
もし誰かのソロパートを覚えたいとなったら、対象の人物のプレーを映像で確認し、筋肉の使い方から指使いまで見ることによって、それが情報となりイメージトレーニングに生かされ、記憶の定着につながります。
楽譜だけを渡された場合も同じで、流れているメロディラインをイメージしながら楽譜を見たり、楽譜をイメージしながら演奏したりと、視覚情報をフル活用します。
英単語でしたら、やはり海外ドラマが視覚情報としては最適です。
覚え始めの単語がどういう状況で使われているかが見てとれます。英語字幕を有効に使うことがおすすめです。
重要度を上げる
重要だと脳に思わせるのが記憶の定着には欠かせないことは先ほど伝えましたが、その重要度をあげる方法としましては、シナリオを作ることが効果的です。
・シナリオを作る
どういうことかといいますと、自分の夢や目標を達成するためには、必要な課題だと自分が解釈をすれば、必然と重要度は上がります。
将来ビックなミュージシャンとして活躍することが目標だとしたら、当たり前のようにテクニックは一通り習得するのが重要です。
ですが学校での英語の授業でいつも赤点をとってしまって、親にギターを取り上げられたとしたら、英語を勉強するしかありません。
ここで、英語学習と自分の目標をつなげるシナリオを作ります。
将来世界を飛び回るミュージシャンになるんだから、英語は今のうちから勉強しておかなければならない、と。
そういうふうにシナリオを作ることにより、重要度を上げ、一見関係のない対象のことも覚えやすくなるはずです。逆に必要だった事が明確になることもあるでしょう。
おわりに
今回は記憶のメカニズムと、すぐにとりかかれる記憶力を上げる技術について解説しました。
ぜひとも曲のフレーズ、資格試験などに活用してください。
少しでも、みなさんの記憶力の助けになれば幸いです。