今回は暗い響きを基調とする、ナチュラルマイナースケールについて解説していきます。ギター指板上のマイナースケールも合わせてご覧ください。
【マイナースケール6つのポジション/tab譜】
平行調
まずは、Cメジャースケールの確認をしてみましょう。
Cメジャースケール | ド レ ミ ファ ソ ラ シ |
次にAmスケールを見てみましょう。
Amスケール | ラ シ ド レ ミ ファ ソ |
ご覧になるとわかる通り、CメジャースケールとAmスケールの構成音は一緒なんです。このようなCメジャースケールとAmスケールの関係を、「平行調」といいます。
Cメジャースケールの曲はCで明るく落ち着き、Amスケールの曲ではAmで暗く落ち着くと覚えておきましょう。
Amダイアトニックコードのディグリーネーム
続きまして、Amダイアトニックコードを見ていきます。
Am7 | ラ ド ミ ソ |
Bm7♭5 | シ レ ファ ラ |
CM7 | ド ミ ソ シ |
Dm7 | レ ファ ラ ド |
Em7 | ミ ソ シ レ |
FM7 | ファ ラ ド ミ |
G7 | ソ シ レ ファ |
それでは、これにディグリーネーム(ローマ数字)を当てはめてみます。
Am7 | Ⅰm7 |
Bm7♭5 | Ⅱm7♭5 |
CM7 | ♭ⅢM7 |
Dm7 | Ⅳm7 |
Em7 | Ⅴm7 |
FM7 | ♭ⅥM7 |
G7 | ♭Ⅶ7 |
メジャーダイアトニックコードのディグリーと比べて、このように3番目・6番目・7番目のディグリーに♭が付くのです。Cメジャーダイアトニックの場合、2番目のレから3番目までのインターバル(距離)は1音(全音)。一方でAmダイアトニックコードの2番目であるシから、3番目のドまでのインターバルは半音。つまりメジャーダイアトニックを基準として、♭を付けることでインターバルの誤差を表しています。
CメジャースケールとCmスケールは同主調
“♭を付けることでメジャーダイアトニックコードと帳尻を合わせる”ということは、同主調(主音が同じ)であるCメジャーダイアトニックとCmダイアトニックを比べることで、より視覚的はっきりします。ちなみにCmキーの平行調はE♭キーになります。
CM7 | Cm7 |
Dm7 | Dm7♭5 |
Em7 | E♭M7 |
FM7 | Fm7 |
G7 | Gm7 |
Am7 | A♭M7 |
Bm7♭5 | B♭7 |
そして改めてディグリーネームを当てはめてみましょう。
ⅠM7 | Ⅰm7 |
Ⅱm7 | Ⅱm7 |
Ⅲm7 | ♭ⅢM7 |
ⅣM7 | Ⅳm7 |
Ⅴ7 | Ⅴm7 |
Ⅵm7 | ♭ⅥM7 |
Ⅶm7♭5 | ♭Ⅶ7 |
Amダイアトニックコードの機能
それでは続いて、マイナーダイアトニックコードの機能を見てみましょう。
Ⅰm7 | Tm |
Ⅱm7♭5 | SDmⓢ |
♭ⅢM7 | Tmⓢ |
Ⅳm7 | SDm |
Ⅴ7 | Dm |
♭ⅥM7 | SDmⓢ |
♭Ⅶ7 | SDmⓢ |
*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー
*SDm・・・サブドミナントマイナー
*Dm・・・ドミナントマイナー
メジャーダイアトニックと違い、機能の後ろにマイナー(m)と付きます。
基本的には、暗い機能という意味で覚えておきましょう。
ハーモニックとメロディック
次はハーモニックマイナースケールと、メロディックマイナースケールを解説していきます。
ハーモニック・マイナー・スケール
それではAハーモニックマイナースケールの中身の音を見てみましょう。
Aハーモニックマイナー | ラ シ ド レ ミ ファ ソ# |
ソに♯がつきました。
なぜソを♯させるかといいますと、落ち着く音(Tm)のすぐ下にある音に注目してみましょう。
曲が落ち着きたい時、終わりにたい時、という気持ちが沸いてくるのは、落ち着く音のすぐ下のメロディを弾いたときなんです。
これがCメジャースケールでしたら、シの音です。
シとドは距離が半音ですが、ソとラは距離が全音(1音)です。ギターでいうと2フレット分離れています。
そこで最後の7番目の音を半音上げたスケールも作る上、できたのがハーモニック・マイナー・スケールなんです。
最後の音を半音上げることによって、ギリギリ感、切迫感が強まります。
それでは次に、ハーモニックマイナースケールで作られるダイアトニックコードを見てみましょう。
AmM7 | ラ ド ミ ソ# |
Bm7♭5 | シ レ ファ ラ |
CM7#5 | ド ミ ソ# シ |
Dm7 | レ ファ ラ ド |
E7 | ミ ソ# シ レ |
FM7 | ファ ラ ド ミ |
G#dim | ソ# シ レ ファ |
ナチュラルマイナーと比べ、少しコードが変わってしまいました。
ダイアトニックコードの機能も変わったコードがあるのでそちらも見ていきましょう。
ⅠmM7 | Tm |
Ⅱm7♭5 | SDmⓢ |
♭ⅢM7#5 | Tmⓢ |
Ⅳm7 | SDm |
Ⅴ7 | D |
♭ⅥM7 | SDmⓢ |
Ⅶdim | Dⓢ |
ここで要チェックしてほしいのが、V7のドミナント(D)。 よくCメジャーまたはAmの楽曲で、Amコードの前にE7登場することがあります。これはAmに行くための不安感を強めるために、ハーモニックマイナースケールから登場したE7だったんです。
メロディック・マイナー・スケール
次にメロディックマイナースケールの中身を見てみましょう。
Aメロディックマイナー | ラ シ ド レ ミ ファ# ソ# |
メロディックマイナースケールでは、ファに♯がつきました。 Aハーモニックマイナーでは不安感を強めるために、7番目の音を♯させることで、ソとラの関係を改善しました。
そこで問題が起こったのが、ファとソの関係です。もともとは1音離れていた関係が、ソが♯されたことによって、1.5音離れることになりました。ギターでいうと3フレット分も離れてしまったのです。
そうなると歌いにいくく、いびつな感じもあり、もう少し滑らかにメロディアスにならないのか?ということで6番目の音も半音上げたのが、メロディックマイナーです。
次にダイアトニックコードも見てみましょう。
AmM7 | ラ ド ミ ソ# |
Bm7 | シ レ ファ# ラ |
CM7#5 | ド ミ ソ# シ |
D7 | レ ファ# ラ ド |
E7 | ミ ソ# シ レ |
F#m7♭5 | ファ# ラ ド ミ |
G#m7♭5 | ソ# シ レ ファ# |
ナチュラルマイナーと比べ、かなりコードが変わりました。
次に機能もみてみましょう。
ⅠmM7 | Tm |
Ⅱm7 | SDmⓢ |
♭ⅢM7#5 | Tmⓢ |
Ⅳ7 | SD |
Ⅴ7 | D |
Ⅵm7♭5 | Tmⓢ |
Ⅶm7♭5 | Dⓢ |
*ⓢ・・・代理
実はメロディックマイナースケールとメジャースケールは、とてもよく似ているんです。
CメジャースケールとCメロディックマイナースケールを比べてみましょう。
Cメジャースケール | ド レ ミ ファ ソ ラ シ |
Cメロディックマイナースケール | ド レ ミ♭ ファ ソ ラ シ |
ドから始まる3番目のミと、ミ♭だけが違います。
ちなみにコードを明るくするか、暗くするかは3番目の音が重要です。Cコードのコードトーンと、Cmのコードトーンを比べてみましょう。
Cコード | ド ミ ソ |
Cmコード | ド ミ♭ ソ |
おわりに
最低限、メジャースケール1つとマイナースケール3つを覚えておきましょう。
曲をコピーしたり作曲する時には、「なぜこのコードが出てくるのか」「もう少しカッコイイコード進行にしたい」と思った時は、ハーモニックマイナースケールやメロディックマイナースケール、または同主調のマイナースケールをチェックすることおすすめします。