【転調】名曲のコード進行8選メジャーとマイナー作曲法2つの顔を持つ曲

転調する曲として椎名林檎「罪と罰」

今回は曲中にメジャーキーのコード進行と、マイナーキーのコード進行の2つが取り入れられている名曲、ヒットソングをご紹介します(急に曲の雰囲気が変わったり、セクションごとに曲の明るさが違う曲)。

なぜそういう風に聴こえるかというと、その秘密は歌詞や伴奏楽器の選定だけではなく、コード進行の転調が大きく関わっているのです。

コード進行も一緒に解説していきますので、作曲家志望の方だけではなく、楽器初心者、音楽理論初心者の方でもわかりやすくご紹介します。

「シングルベッド」シャ乱Q

1曲目は、名曲「シングルベッド」です。
動画はシャ乱Q結成25周年バージョンなんですが、「♭1」で録音されております。

それでは「シングルベッド」の1番のコード進行をチェックしてみましょう。

*イントロ
|D♭-A♭/C-B♭m7-A♭|
|G♭m    A♭sus4-A♭ |

|D♭-A♭/C-B♭m7-A♭|
|B7      |E        |

*Aメロ
|E      |D#m7  G#7 |
|A   B   |E      |

|G#m7  C#m |G#m7  C#m |
|A      |Bsus4   B  |

|E      |D#m7  G#7 |
|A   B   |E      |

|A   B   |E-B/D#-C#-C#/B|
|F#m7  Bsus4-B|E    B/D#|

*Bメロ
|C#m7   |G#m7   |
|A      |G#m7   |

|A      |G#m7   |
|A   F#m7 |A♭7   |      |

*サビ
|D♭    |Fm7   |
|B♭m   |Fm7   |

|G♭ A♭/G♭|Fm7-B♭m-B♭m/A♭ |
|G♭  E♭/G |A♭sus4  A♭ |

|D♭    |Fm7/C  A♭-F/7|
|B♭m   |Fm7   |

|G♭ A♭ |D♭-A♭/C-B♭-B♭/A♭|
|G♭  G♭m |

*間奏
|D♭-A♭/C-B♭m7-A♭|
|G♭m    A♭sus4-A♭ |

|D♭-A♭/C-B♭m7-A♭|
|B7      |E        |

コード進行を見てもらうと、イントロとサビが「D♭メジャーキー」の進行になっており、AメロBメロのセクションでは「Eメジャーキー」の進行になっています。
コード進行の特徴としましては、ベース音が所々クリシェの動きをしています。
ですが聴いていてもスムーズに転調していて、おかしな聴こえはまったくしません。
この2つのキーの関係性は、Eメジャーキーを平行調(構成音が同じ)の「C#mキー」として捉えると見えてきます。
ⅠM7 EM7 T
Ⅱm7 F#m7 SDⓢ
Ⅲm7 G#m7 Tⓢ
ⅣM7 AM7 SD
Ⅴ7 B7 D
Ⅵm7 C#m7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 D#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

*D♭メジャーダイアトニックコード
ⅠM7 D♭M7 T
Ⅱm7 E♭m7 SDⓢ
Ⅲm7 Fm7 Tⓢ
ⅣM7 G♭M7 SD
Ⅴ7 A♭7 D
Ⅵm7 B♭m7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 Cm7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

D♭とは、C#とイコール=の関係です。「シングルベッド」のAメロではEメジャーの明るさがあるコード進行から、BメロではC#mキーを基調とした進行に移り、C#mの同主調(主音が同じ)のC#キー、つまりメジャーキーへのD♭キーに転調したという解釈ができます。

シングルベッド
*AメロBメロ/Eメジャー(C#m)
*サビ/D♭メジャー(C#メジャー)

「誘惑」GLAY

続いてはGLAYより「誘惑」です。
「誘惑」もGLAYの中ではアップテンポの代表曲の1つです。

それでは歌の1番のコード進行をチェックしてみましょう。

*イントロ
|N.C|
|Dm    |(3/4)Dm|
|Dm    |(3/4)Dm|

|Dm    |(3/4)Dm|
|Dm    |(3/4)Dm|

*イントロサビ
|Dm    |B♭   |F      |A7    |
|Dm    |B♭   |F      |A7    |

|Dm    |B♭   |F      |A7    |
|Dm    |B♭   |F      |A7    |

*イントロ間奏
|Dm    |B♭   |F      |A7    |
|Dm    |B♭   |F      |A7    |
|A7    |

*Aメロ
|Bm    |A      |Bm    |A      |
|Bm    |G      |D      |F#7   |

|Bm    |A      |Bm    |A      |
|Bm    |G      |D      |F#7   |

*Bメロ
|A      |        |Bm    |        |
|G      |        |A      |        |

|A      |        |Bm    |        |
|G  D   |F#7 Bm  |G     |A     |
|F#7   |

*サビ
|Dm    |B♭   |F      |A7    |
|Dm    |B♭   |F      |A7    |

|Dm    |B♭   |F      |A7    |
|Dm    |B♭   |F      |A7    |

こちらの「誘惑」のコード進行は見てわかる通り、Bmキーと、Dmキーの二面性を持っています
*Bmダイアトニックコード
Ⅰm7 Bm7 Tm
Ⅱm7♭5 C#m7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 DM7 Tmⓢ
Ⅳm7 Em7 SDm
Ⅴm7 F#m7 Dm
♭ⅥM7 GM7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 A7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

*Dmダイアトニックコード

Ⅰm7 Dm7 Tm
Ⅱm7♭5 Em7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 FM7 Tmⓢ
Ⅳm7 Gm7 SDm
Ⅴm7 Am7 Dm
♭ⅥM7 B♭M7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 C7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

こちらはBmキーを平行調のDメジャーキーとして捉えることで、関係性が見えてきます。
つまりDメジャーのメジャーキーから、サビでは同主調のDmのマイナーキーに転調していると言えるでしょう。

*Dメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 DM7 T
Ⅱm7 Em7 SDⓢ
Ⅲm7 F#m7 Tⓢ
ⅣM7 GM7 SD
Ⅴ7 A7 D
Ⅵm7 Bm7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 C#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

Dmのセクションで出てくるA7は、DハーモニックマイナーのⅤ7に当たりドミナントコードです。

Bmのセクションで出てくるF#7も同じく、BハーモニックマイナーのⅤ7のドミナントコードです。

誘惑
AメロBメロ/Bm(Dメジャー)
サビ/Dm(Fメジャー)

「罪と罰」椎名林檎

続いて椎名林檎さんより「罪と罰」です。
古くからの椎名林檎ファンには外せない1曲だと思います。

それでは歌の1番のコード進行をチェックしてみましょう。

*イントロ
|Fm   |~ |

*イントロサビ
|Fm  Fm/E |Fm/E♭  Fm/D |
|D♭M7  C7 |Fm7  B♭7 |

|Fm  Fm/E |Fm/E♭  Fm/D |
|D♭M7  C7 |Fm7  C7  |

*Aメロ
|F      |A7    |
|Dm7   |B♭m7  C7 |

|F      |A7    |
|Dm7   |B♭m7  C7 |

*間奏
|Fm7  B♭7|Fm7  B♭7|
|Fm7  B♭7|Fm7  B♭7|

こちらの「罪と罰」は、サビがFmキー、AメロがFメジャーキーとなります。
分かりやすくセクションごとの出だしがFmとFで別れています。
*Fmダイアトニックコード
Ⅰm7 Fm7 Tm
Ⅱm7♭5 Gm7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 A♭M7 Tmⓢ
Ⅳm7 B♭m7 SDm
Ⅴm7 Cm7 Dm
♭ⅥM7 D♭M7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 E♭7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

*Fメジャーダイアトニックコード

ⅠM7 FM7 T
Ⅱm7 Gm7 SDⓢ
Ⅲm7 Am7 Tⓢ
ⅣM7 B♭M7 SD
Ⅴ7 C7 D
Ⅵm7 Dm7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 Em7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

後半部には1音転調し、Gm、Gメジャーになっています。
Fmのサビの進行ではこんな進行です。
|Fm  Fm/E |Fm/E♭  Fm/D |
|D♭M7  C7 |Fm7  B♭7 |
こちらもクリシェの動きが特徴的な進行です。
Fmのファから、ファ→ミ→ミ♭→レ→レ♭→ド、という動きをしています。
Fメジャーから始まるセクションで注目してもらいたいのが、B♭m7です。
本来FメジャーダイアトニックコードにはB♭m7ではなく、B♭M7があるのですが、使用されているコードはB♭m7。
このB♭m7がどこから登場したかといいいますと、同主調のFmダイアトニックコードのⅣm7として借用されたサブドミナントマイナーコードになります。
暗く少し不安定な響きのコードですが、ヒットソングや名曲の至る所で使用されている万能なコードです。
罪と罰
Aメロ/Fメジャー
サビ/Fm

「TSUNAMI」サザンオールスターズ

AメロとBメロのコード進行を見てみましょう。
*Aメロ
|D   A/C#|Bm7  D/A|
|GM7   A  |F#m7  Bm7 |

|G    A    |F#m7  Bm7 |
|Em7  A7 |D      |

*Bメロ
|Gm7  C7 |FM7  Dm7 |
|Gm7  A7 |D      A/C#|

|Bm7      |G         |
|E7        |A7       |

「TSUMANI」の曲のキーはDメジャーになります。
*Dメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 DM7 T
Ⅱm7 Em7 SDⓢ
Ⅲm7 F#m7 Tⓢ
ⅣM7 GM7 SD
Ⅴ7 A7 D
Ⅵm7 Bm7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 C#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

ですがBメロの出だしはGm7コードです。
しかも、|Gm7  C7 |FM7  Dm7 |Gm7  A7 |
というふうに、Dメジャーダイアトニックコードにはないノンダイアトニックコードが続いていきます。

この、Gm7、C7、FM7、Dm7、が同主調のDmキーから登場したコードになります。

*Dmダイアトニックコード

Ⅰm7 Dm7 Tm
Ⅱm7♭5 Em7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 FM7 Tmⓢ
Ⅳm7 Gm7 SDm
Ⅴm7 Am7 Dm
♭ⅥM7 B♭M7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 C7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理

*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

まずはこの進行の
|Gm7  C7 |FM7  Dm7 |Gm7  A7 |

Gm7とC7は、Dmと平行調のFメジャーキーのⅡm7とⅤ7になります。
ツーファイブ進行をして、FM7へ進行。

Dメジャーに戻るきっかけは、DハーモニックマイナーのV7のA7がドミナントコードとなり、Dメジャーに戻り、サビへ発展していきます。

曲全体/Dメジャー
Bメロ/一時的Dm

「Lemon」米津玄師

続いては米津玄師さんの大ヒット曲「Lemon」です。

米津玄師【Lemon】簡単コード/ギター初心者でも弾ける
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こちらの「Lemon」で注目してもらいたいのが、歌の2番のサビ終わりにある、大サビへ橋渡しの役目のBridge(ブリッジ)部分です。

それではコード進行をチェックしてみましょう。

*サビ2
|E  B  |F# G#m|
|E  B  |F#  D#7|

|E  B  |A#m7♭5-D#7-G#m  |
|C#m  G#m |E-F#-Fm7♭5  |

|C#m  G#m |E-F#sus4-B  |
|B-B/F#-B-D#7|

*Bridge
|Fm  D♭|E♭ A♭|
|D♭  A♭|E♭ A♭|

|Fm  D♭|E♭ A♭|
|D♭  A♭|E♭ A♭|

|Fm  D♭|E♭ A♭|
|D♭  A♭|E♭ A♭|

|Fm  D♭|E♭ A♭|
|D♭ A♭|G♭    |

|D♭    |D♭m7  |

「Lemon」ではBridge部分でのみ転調が入ります。

曲全体のキーはG#mキーです。
メジャーキーで見るとBメジャーになります。

*G#mダイアトニックコード

Ⅰm7 G#m7 Tm
Ⅱm7♭5 A#m7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 BM7 Tmⓢ
Ⅳm7 C#m7 SDm
Ⅴm7 D#m7 Dm
♭ⅥM7 EM7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 F#7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

転調先はFmキーになります。
メジャーキーで見るとA♭メジャーです。

*Fmダイアトニックコード

Ⅰm7 Fm7 Tm
Ⅱm7♭5 Gm7♭5 SDmⓢ
♭ⅢM7 A♭M7 Tmⓢ
Ⅳm7 B♭m7 SDm
Ⅴm7 Cm7 Dm
♭ⅥM7 D♭M7 SDmⓢ
♭Ⅶ7 E♭7 SDmⓢ

*ⓢ・・・代理
*Tm・・・トニックマイナー(暗く安定)
*SDm・・・サブドミナントマイナー(暗く少し不安定)
*Dm・・・ドミナントマイナー(暗く不安定)

パッと見たところ解釈が難しいかもしれませんが、Fmの平行調のA♭メジャーをG#メジャーとして考えれば簡単です。

つまりG#mとして進行していたところ、BridgeではG#メジャーに転調したと解釈できます。G#mのセクションで出てくるD#7は、G#mへのドミナントコードで、G#ハーモニックマイナーのⅤ7です。

Lemon
曲全体/G#m(Bメジャー)
Bridge/Fm(A♭=G#)

「かたちあるもの」柴咲コウ

続いてドラマ世界の中心で愛を叫ぶ主題歌の、柴咲コウさんによる「かたちあるもの」です。

歌の1番のコード進行をチェックしてみましょう。

*イントロ
|A/C# D  |E   F#m-E |
|D   A/C#|Bm    |Bm7/E |

*Aメロ
|C   C/B |C/B♭ Asus4-A |
|Dm  Dm/C#|Dm/C  G/B|

|C   C/B |C/B♭ Asus4-A |
|Dm  Dm/C#|Dm/C  G/B-G|

*Bメロ
|G/F  C/E |Dm7  G-G/F|
|Em7  FM7 |A#7    |

|E/G#-D/F#-Bm7/E-C#7|

*サビ
|F#m  DM7 |E  C#7/F|
|F#m-F#m/E-B7/D# |
|Bm7/E  F#m-E/G#|

|A/C#  DM7 |E  C#7/F|
|F#m-F#m/E-B7/D# |
|Bm7/E  D/F#-E|

こちらの「かたちあるもの」のコード進行もクリシェの動きが凄まじいです。
コードの採譜がかなり大変でした。
 
曲のコード進行は、イントロはAメジャーサビはF#mキーの進行です。
AメジャーとF#mは平行調ですので、ここではまとめてAメジャーの進行としておきましょう。
*Aメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 AM7 T
Ⅱm7 Bm7 SDⓢ
Ⅲm7 C#m7 Tⓢ
ⅣM7 DM7 SD
Ⅴ7 E7 D
Ⅵm7 F#m7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 G#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

いっぽう、AメロBメロはCメジャーの進行をしています。

*Cメジャーダイアトニックコード

Aメロではクリシェの動きの中からAコードまで行き、Dmコードへセカンダリードミナントをしています。
ここで登場するAコードはDmへ行くためのドミナントコードです。

転調のきっかけ前に出てくるA#7は、B♭7と同じなので、Cmキーから借用されたサブドミナントマイナーコードです。

サブドミナントマイナーコードのA#7に行き、転調のきっかけとなるこの進行に行きます。

|E/G#-D/F#-Bm7/E-C#7|

こちらの進行もクリシェが絡んでいてとてもカッコイイ進行です。
転調の解釈ですが、AメロBメロでのCメジャーキーの平行調はAmキー。
つまり、マイナーキーのAmから、メジャーキーのAメジャーへと転調と解釈できます。
かたちあるもの
AメロBメロ/Cメジャー(Am)
サビ/Aメジャー(F#m)

「ORION」中島美嘉

続いては中島美嘉さんによる「ORION」です。

こちらはドラマ『流星の絆』の挿入曲としても有名になりました。
僕も当時DVDを借りて見たのを覚えています。

では、こちらも歌の1番のコード進行を見てみましょう。

*イントロサビ
|BM7  C# |A#m7  D#m7 |
|BM7  Ddim |
|D#m7  ›Dm7›C#m7-C#m7/F#|

|BM7  C# |
|A#7-Ddim-D#m7-F#/C#|
|BM7  F#/C#|Bm   |
|F#    |

*間奏
|DM7   |A/C#  |
|Am/C  |Esus4  E |

*Aメロ
|A    Bm7 |C#m7  C#7 |
|F#m  Esus4 |DM7  E  |

|A    Bm7 |C#m7  C#7 |
|F#m  Esus4 |DM7 E   |

*Bメロ
|Bm7  C#m7 |DM7    |
|Bm7  C#m7 |DM7    |

|C#7sus4 C#7 |A#aug  |

*サビ
|BM7  C# |A#m7  D#m7 |
|BM7  Ddim |
|D#m7  ›Dm7›C#m7-C#m7/F#|

|BM7  C# |
|A#7-Ddim-D#m7-F#/C#|
|BM7  F#/C#|Bm   |
|F#    |

こちらの「ORION」のイントロサビのコード進行はF#メジャーです。
下降して行く動きのクリシェと、ⅣmのBmがの悲し気な感じが、とても曲の雰囲気を醸し出しています。
*F#メジャーダイアトニックコード
ⅠM7 F#M7 T
Ⅱm7 G#m7 SDⓢ
Ⅲm7 A#m7 Tⓢ
ⅣM7 BM7 SD
Ⅴ7 C#7 D
Ⅵm7 D#m7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 E#(F)m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

いっぽう、AメロBメロではAメジャーキーに転調しています。

*Aメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 AM7 T
Ⅱm7 Bm7 SDⓢ
Ⅲm7 C#m7 Tⓢ
ⅣM7 DM7 SD
Ⅴ7 E7 D
Ⅵm7 F#m7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 G#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

このAメジャーの平行調はF#m。つまりサビでメジャーキーのF#キーに転調と解釈できます。

注目してもらいたいのが「ORION」の最初の間奏部分のコード進行です。
*間奏
|DM7   |A/C#  |
|Am/C  |Esus4  E |

この進行はまるで徐々に最後のEメジャーコードで解決しているような進行の響きを持っています。
AmコードがEメジャーのサブドミナントマイナーのような錯覚をもたらしています。
しかも結果として、最後のEコードがドミナントコードとなり、Aメジャーへと転調していきます。

もう1つ注目してもらいたいのが、サビへ行く前のA#augコードです。
BM7へ進行するための、半音下のA#augのアプローチです。

augコードは独特の響きですが、上手く布石になっています。A#augとBM7のコードトーンはこうなっています。

A#aug ラ# レ ファ#
BM7 シ レ# ファ# ラ#
「ORION」
AメロBメロ/Aメジャー(F#m)
サビ/F#メジャー

「ALONE」B’z

最後にご紹介するのは、B’zより「ALONE」です。
「ALONE」もB’zを代表する1曲であります。

それでは歌の1番のコード進行をチェックしてみましょう。

*イントロ
|N.C |
|C    G/B  |Am  G  |
|F   G  |C      |

*Aメロ
|C-G/B-Am  |     G   |
|F      G |C      |

|C-G/B-Am  |     G   |
|F      G |

|Am  G  |D/F# F-G|
|Am  G  |D/F#  E   |

*Bメロ
|F   G  |C-G/B-Am-G|
|F   G  |Am-G/B-C   |

|F   G  |
|Am-AmM7/G#-Am7/G-F#m7♭5|

|FM7   |Esus4  E  |
|N.C |

*サビ
|A   E/G# |F#m  E  |
|D    E    |A       |

|A   E/G# |F#m  E  |
|D    E    |A       |

「ALONE」はAメロBメロではCメジャーキーです。
ですがBメロに入る直前のギターのテーマは、Amキーが基調となっています。

*Cメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 CM7 T
Ⅱm7 Dm7 SDⓢ
Ⅲm7 Em7 Tⓢ
ⅣM7 FM7 SD
Ⅴ7 G7 D
Ⅵm7 Am7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 Bm7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

そしてAハーモニックマイナーのドミナントコードのEコードがきっかけとなって、Cメジャーの平行調のAmから、Aメジャーへとサビで転調しています。

*Aメジャーダイアトニックコード
ⅠM7 AM7 T
Ⅱm7 Bm7 SDⓢ
Ⅲm7 C#m7 Tⓢ
ⅣM7 DM7 SD
Ⅴ7 E7 D
Ⅵm7 F#m7 Tⓢ
Ⅶm7♭5 G#m7♭5 Dⓢ

*ⓢ・・・代理
*T・・・トニック(安定)
*SD・・・サブドミナント(少し不安定)
*D・・・ドミナント(不安定)

N.Cのメロディラインは、イントロが(ド ソ ラ シ ド レ ミ)となっており、サビ前が(ラ ミ ファ# ソ# ラ シ ド#)となっています。
下降の動きのクリシェと、上昇の動きのクリシェを上手く使い分けています。

「ALONE」
AメロBメロ/Cメジャー(Am)
サビ/Aメジャー

おわりに

今回のメジャーとマイナーの2面性を持つ名曲、ヒットソングはどうだったでしょうか。
世の中には素敵な2面性を持つ名曲がまだまだたくさんあります。

ぜひ皆さんもお気に入りの曲で、曲調がガラッと変わるシーンがある曲はコード進行を探ってみてください。