今回は耳コピが苦手でキーとかわからないという方、今まで漠然とコード進行だけ覚えてた方、キーがわからずアレンジに困ってる方などに向けて、簡単に曲のキーを調べる方法を解説していきます。
楽曲キーがわかることのメリットはこちら。
・アドリブにもチャレンジできる
・曲のアレンジにも役立てれる
コード進行を漠然と覚えるより曲のキーが判断できれば、ダイアトニック何番目のコードが使われているかも瞬時に判断できます。
さらにダイアトニックコードと比較することで、一時的に使用されている借用コードなどの解釈も可能です。
その様々な情報が理解できることでコネクションが強くなり、よりいっそう記憶しやすくなります。ダイアトニックコードの番号だけで、コード進行を暗記しているという人もいるほどです。
それでは、具体的な2つの方法を見てみましょう。
・コード進行から判別する
楽譜の調号
調号とは、楽譜の初めに書いてある#(シャープ)や♭(フラット)のことです。
ちなみに、#がついてる曲でも、臨時記号として途中に♭などが出てくる時もありますが、最初の調号して#や♭が混ざって記されることはありません。
こちらは調号が何もついていない楽譜です。キーはCメジャー(ハ長調)となります。平行調では、Amキーです。

Keyの調べ方 #編
まずは調号の#編より1つずつ見ていきましょう。
#の付く音、付く順番も一緒に確認してください。
Gメジャー
こちらはGメジャースケールです。最初のト音記号の横に#がついています。
ついている場所はファの場所です。ファに#がついていると、キーがGとなります。平行調では、Emキー。

ちなみに最初の渦巻きマークをト音記号といいます。なぜ「ト」かといいますと、ドレミファソラシドを日本語音名にすると、ハニホヘトイロハとなります。つまりソ=トです。
ト音記号を五線譜に書く時は、ソのところ、つまり五線譜下から2番目の線から書き始めましょう。
(英語音名で、ドレミファソラシド=CDEFGABC)
Dメジャー
続いて、次はドに#がついています。ドに#がつくと、キーはDです。平行調ではBmキー。
ファとドに#がつき、それぞれファ#、ド#となりました。ダイアトニックコードと、コードトーンも見ていきましょう。

・DM7 レ、ファ#、ラ、ド#
・Em7 ミ、ソ、シ、レ
・F#m7 ファ#、ラ、ド#、ミ
・GM7 ソ、シ、レ、ファ#
・A7 ラ、ド#、ミ、ソ
・Bm7 シ、レ、ファ#、ラ
・C#m7♭5 ド#、ミ、ソ、シ
ダイアトニックコードのインターバルも数えてみましょう。

Aメジャー
次はソに#がついています。ソに#がつくと、キーはAです。平行調ではF#mキー。
・AM7 ラ、ド#、ミ、ソ#
・Bm7 シ、レ、ファ#、ラ
・C#m7 ド#、ミ、ソ#、シ
・DM7 レ、ファ#、ラ、ド#
・E7 ミ、ソ#、シ、レ
・F#m7 ファ#、ラ、ド#、ミ
・G#m7♭5 ソ#、シ、レ、ファ#
Eメジャー
次はレに#がついています。レに#がつくと、キーはEです。平行調ではC#mキー。
・EM7 ミ、ソ#、シ、レ#
・F#m7 ファ#、ラ、ド#、ミ
・G#m7 ソ#、シ、レ#、ファ#
・AM7 ラ、ド#、ミ、ソ#
・B7 シ、レ#、ファ#、ラ
・C#m7 ド#、ミ、ソ#、シ
・D#m7♭5 レ#、ファ#、ラ、ド#
Bメジャー
次はラに#がついています。ラに#がつくと、キーはBです。平行調でG#mキー。
・BM7 シ、レ#、ファ#、ラ#
・C#m7 ド#、ミ、ソ#、シ
・D#m7 レ#、ファ#、ラ#、ド#
・EM7 ミ、ソ#、シ、レ#
・F#7 ファ#、ラ#、ド#、ミ
・G#m7 ソ#、シ、レ#、ファ#
・A#m7♭5 ラ#、ド#、ミ、ソ#
F#メジャー
次はミに#がついています。ミに#がつくと、キーはF#です。
平行調はD#mキー。ちなみにF#=G♭です。
・F#M7 ファ#、ラ#、ド#、ミ#
・G#m7 ソ#、シ、レ#、ファ#
・A#m7 ラ#、ド#、ミ#、ソ#
・BM7 シ、レ#、ファ#、ラ#
・C#7 ド#、ミ#、ソ#、シ
・D#m7 レ#、ファ#、ラ#、ド#
・E#m7♭5 ミ#、ソ#、シ、レ#
譜面を見ている時にE#m♭5やE#mなど出てきて、「あれ?なんで?」と思われた経験を持つ方もいるでしょう。これはたんに#の調号を正しく表記した結果、E#となっているだけです。
C#メジャー
さぁついに#編最後です。最後はシに#がつきました。
シに#がつくと、キーはC#となります。平行調ではA#mキーです。ちなみにC#=D♭。
・C#M7 ド#、ミ#、ソ#、シ#
・D#m7 レ#、ファ#、ラ#、ド#
・E#m7 ミ#、ソ#、シ#、レ#
・F#M7 ファ#、ラ#、ド#、ミ#
・G#7 ソ#、シ#、レ#、ファ#
・A#m7 ラ#、ド#、ミ#、ソ#
・B#m7♭5 シ#、レ#、ファ#、ラ#
#編 まとめ
ここまでで、#の調号を見てきました。この#のつく順番は音楽理論では、この通りに決まっているのです。もう一度、#がついた音を順番に確認してみましょう。
・ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ
この#のつく音の順番は、丸暗記してしまうことをおすすめします。
ここまで見てきますと、#が最後についている音は、キーの第7音です。
つまり、最後に#がついている音の半音上が曲のキーということになります!
例えば、#が最後についている音がソだったら、ソ#+#(半音)=KeyはAとなります。
最後に#がついている音の半音上がキーになる音
Keyの調べ方 ♭編
続きまして、次は調号が♭の場合を見ていきましょう。♭記号がつくと半音下がるという意味です。
D♭=C#
♭記号の場合も、♭がつく順番は決まっています。
Fメジャー
まず♭がつくのは、シからです。#とは逆の順番で♭はついていきます。シ、ミ、ラ、レ、ソ、ド、ファの順番です。
シに♭がついた場合は、キーがFとなります。平行調ではDmキーです。
・FM7 ファ、ラ、ド、ミ
・Gm7 ソ、シ♭、レ、ファ
・Am7 ラ、ド、ミ、ソ
・B♭M7 シ♭、レ、ファ、ラ
・C7 ド、ミ、ソ、シ♭
・Dm7 レ、ファ、ラ、ド
・Em7♭5 ミ、ソ、シ♭、レ
B♭メジャー
続いて順番に、ミに♭がつきます。ミに♭がつくとキーはB♭。
平行調ではGmキーです。
・B♭M7 シ♭、レ、ファ、ラ
・Cm7 ド、ミ♭、ソ、シ♭
・Dm7 レ、ファ、ラ、ド
・E♭M7 ミ♭、ソ、シ♭、レ
・F7 ファ、ラ、ド、ミ♭
・Gm7 ソ、シ♭、レ、ファ
・Am7♭5 ラ、ド、ミ♭、ソ
E♭メジャー
続いて、ラに♭がつきました。ラに♭がつくとキーはE♭になります。
平行調ではCmキーです。Cメジャーキーと同主調のCmキー。
・E♭M7 ミ♭、ソ、シ♭、レ
・Fm7 ファ、ラ♭、ド、ミ♭
・Gm7 ソ、シ♭、レ、ファ
・A♭M7 ラ♭、ド、ミ♭、ソ
・B♭7 シ♭、レ、ファ、ラ♭
・Cm7 ド、ミ♭、ソ、シ♭
・Dm7♭5 レ、ファ、ラ♭、ド

A♭メジャー
次はシ、ミ、ラ、ときてレに♭がつきました。
レに♭がつくと、キーはA♭になります。平行調はFmキーです。
・A♭M7 ラ、ド、ミ♭、ソ
・B♭m7 シ♭、レ♭、ファ、ラ♭
・Cm7 ド、ミ♭、ソ、シ♭
・D♭M7 レ♭、ファ、ラ♭、ド
・E♭7 ミ♭、ソ、シ♭、レ♭
・Fm7 ファ、ラ♭、ド、ミ♭
・Gm7♭5 ソ、シ♭、レ♭、ファ
D♭メジャー
次はソに♭です。ですが♭記号の場合、#記号とは1オクターブ低いソに♭記号が表記されます。
ソに♭がついて、キーはD♭です。平行調はB♭mキー。
・D♭M7 レ♭、ファ、ラ♭、ド
・E♭m7 ミ♭、ソ♭、シ♭、レ♭
・Fm7 ファ、ラ♭、ド、ミ♭
・G♭M7 ソ♭、シ♭、レ♭、ファ
・A♭7 ラ♭、ド、ミ♭、ソ♭
・B♭m7 シ♭、レ♭、ファ、ラ♭
・Cm7♭5 ド、ミ♭、ソ♭、シ♭
G♭メジャー
次はドに♭です。ドに♭がついて、キーはG♭になります。
平行調ではE♭mキーです。
・G♭M7 ソ♭、シ♭、レ♭、ファ
・A♭m7 ラ♭、ド♭、ミ♭、ソ♭
・B♭m7 シ♭、レ♭、ファ、ラ♭
・C♭M7 ド♭、ミ♭、ソ♭、シ♭
・D♭7 レ♭、ファ、ラ♭、ド♭
・E♭m7 ミ♭、ソ♭、シ♭、レ♭
・Fm7♭5 ファ、ラ♭、ド♭、ミ♭
C♭メジャー
そして最後にファに♭です。ファに♭がついてキーはC♭になります。
平行調でA♭mキーです。
・C♭M7 ド♭、ミ♭、ソ♭、シ♭
・D♭m7 レ♭、ファ♭、ラ♭、ド♭
・E♭m7 ミ♭、ソ♭、シ♭、レ♭
・F♭M7 ファ♭、ラ♭、ド♭、ミ♭
・G♭7 ソ♭、シ♭、レ♭、ファ♭
・A♭m7 ラ♭、ド♭、ミ♭、ソ♭
・B♭m7♭5 シ♭、レ♭、ファ♭、ラ♭
♭編 まとめ
ここまできましたら気づいた方もおられるかもしれませんが、最後に♭の調号がついた音から完全4度下の音がキーの音です。
例えば、キーがFの場合だと、
・FM7 ⅠM7
・B♭M7 ⅣM7
なので、最後に♭がついた音が、キーの4番目(Ⅳ)にくると覚えましょう。といいたいとこですが、もっと簡単に見分けることができます。
最後から2番目に♭がついた音がキーである。
まずは最初の♭は、シからつくということは覚えておいてください。
例えばA♭キーを見てみると、♭がシ、ミ、ラ、レとついて、最後♭がレについています。
そしてその前に♭がついたのはラの音。つまりAの音です。最後に♭がついたレも、ⅣM7のD♭M7です。
これなら♭の調号でも簡単にキーが見分けられます。
次はコード進行からしかヒントが得られない時の、キーの調べ方を見ていきましょう。
最後から2番目に♭がついた音がキーの音
コード進行から判断する!キーの調べ方
まずは曲のキーがわかりやすい、J-POPのコード進行を見てみましょう。
「虹」福山雅治
こちらのコード進行は、福山雅治さんの「虹」のAメロの出だしから8小節のコード進行。
まず注目するポイントは、メジャーコードが3つあるということです。
曲のキーにはメジャーキー、マイナーキーとありますが、基本的にはメジャーキーを発見できるようになれば、平行調のマイナーキーはダイアトニックコードのⅥm、6番目のコードなのですぐにわかります。
ここが大事なポイント。DとGとAが入っているダイアトニックコードのキーを探してみましょう。
ダイアトニックコードは1番目(Ⅰ)と4番目(Ⅳ)、そして5番目(Ⅴ)がメジャーコードです。
キーがGだと、メジャーコードはGとCとD。
キーがAだと、メジャーコードはAとDとE。
キーがDだと、メジャーコードはD(Ⅰ)とG(Ⅳ)とA(Ⅴ)。
つまり、このコード進行はキーがDです。
Ⅰ-Ⅳ-Ⅵm-Ⅴ
これは以前解説した感動コードの主要4コードの組み合わせです。
メジャーコードに注目して見てみると、意外と簡単にキーがわかってしまいます。

「I LOVE YOU」尾崎豊
ではもう1曲簡単なコード進行を。尾崎豊さん名曲「I LOVE YOU」の、Aメロ出だしの4小節を見てみましょう。
こちらのコード進行はパッと見てわかる方もいるかと思います。まずメジャーコードに注目してみると、AコードとE7コードです。このE7コードがチェックポイント。
E7などの7thコードはドミナント機能を持っております。
つまりダイアトニックコードの5番目(V7)の可能性が高いです。
仮にこのE7がV7だとして、E7がⅤ7のAメジャーダイアトニックコードに、今わかるコードを穴埋めしてみましょう。
・ⅠM7 A
・Ⅱm7 Bm7
・Ⅲm7 C#m7
・ⅣM7 DM7
・Ⅴ7 E7
・Ⅵm7 F#m7
・Ⅶm7♭5 G#m7♭5
Aのダイアトニックコードに、5つのコードがすんなりあてはまりました。よってキーはAです。7thコードがでてきたら、メジャーキーかマイナーキーにドミナントモーションをしている可能性を探りましょう。
「Wherever you are」コード進行解説
次はONE OK ROCKさんより「Wherever you are」のサビのコード進行を分析してみましょう。
|E |B/D# |C#m |G#m |
|A |E |Am |Bsus4 B |
こちらがサビのコード進行です。先ほどの通り、メジャーコードに注目してみましょう。
出てきたメジャーコードはE、B、Aコードです。この3つのコードが、ダイアトニックコードに入っているキーを探してみましょう。
キーがBだと、メジャーコードはBとEとF#。
キーがAだと、メジャーコードはAとDとE。
キーがEだと、メジャーコードはE(Ⅰ)とA(Ⅳ)とB(Ⅴ)なのでこの進行はキーがEです。
ダイアトニックコードの4番目(Ⅳ)と5番目(Ⅴ)のコードは、全音(1音)離れて隣。
つまり1音違いのメジャーコードを2つ見つければ、その2つはⅣとⅤコードの可能性が高いということです。
A-E-Am-B
Ⅰ-Ⅴ/Ⅶ-Ⅵm-Ⅲm
Ⅳ-Ⅰ-Ⅳm-Ⅴ
こちらのonコード(オンコード)のB/D#はBonD#と表記される時もあり、ベース音はD#ということ示しています。D#はBコードのコードトーン、メジャー3rdの音です。
しかしよく見ると、キーがEのダイアトニックコードに入っていないコードがあります。
・EM7
・F#m7
・G#m7
・AM7
・B7
・C#m7
・D#m7♭5
Amコードです。このコードはキーEのダイアトニックコードには入っていません。
このAmはEメジャーキーの同主調キー、Emキーより急遽借り出されました。Emキーの平行調はGキーです。
・Em7
・F#m7♭5
・GM7
・Am7
・Bm7
・CM7
・D7
Emダイアトニックコードの4番目(Ⅳm)のコードで、サブドミナントマイナー(SDm)となります。SDmは少し不安な暗い響きとなります。

このようにダイアトニックコードにないコードのことを、ノン・ダイアトニック・コードといいます。そしてノンダイアトニックコードで同主調のキーから借りてきたコードを、借用コードといいます。
このSDm(Ⅳm)はとても万能なコードで、様々な場面出てきます。曲のコピーや、好きなアーティストのコード進行を見て、分析できないコードがあった場合などは、Ⅳmの可能性も疑ってみましょう。
それではもう一度「Wherever you are」のサビのコード進行を確認。
E-B/D#-C#m-G#m
A-E-Am-B
Ⅰ-Ⅴ/Ⅶ-Ⅵm-Ⅲm
Ⅳ-Ⅰ-Ⅳm-Ⅴ
Am(Ⅳm)の次は、B(Ⅴ)のドミナントに。「Wherever you are」のサビ出だしは、明るさもありサビ自体もとても勢いがあります。
それがいきなりAm(Ⅳm)の出現によって、雰囲気が暗くなり不安感も芽生えてきました。
そして次のBコードに行き、ギリギリ感、緊張感、不安感がよりいっそう高められています。
まとめ
ここまででの、コード進行からキーを調べる方法のまとめを見ていきましょう。
・メジャーコードだけ抜き出して、ダイアトニックコードと比較する。
・1音違いのメジャーコード(ⅣとⅤ)を見つける。
・7thコードがあったら、ドミナントモーション(Ⅴ7)の可能性を探る。
・マイナーキーだと判断した場合は、メジャーキーの6番目(Ⅵm)がマイナーキー