今回は、出張が多い方や中々練習時間がとれない方に向けて、楽器のイメージトレーニングについて解説していきます。

イメトレこそトップアスリートの練習法
実はイメトレこそトップアスリートや、プロスポーツ業界では誰もがやってるトレーニング方式です。ですが音楽業界では、物理的な楽器をもった練習時間に気をとられすぎな指導者、音楽学校の生徒がほとんどです。
スポーツ選手だけでなく、身体運動を必要とするミュージシャン、楽器演奏者にも同じです。ギタリストでしたら、色んなギタリストのプレイを見ることが重要です。
フォームや、立って演奏している時のストラップの長さ、スマホで動画を見ているのならば、一時停止(またはスロー)して拡大させピックの持ち方や右手のポジションの動きなど。
完璧に身体構造が同じ人間などいないので、プレイスタイルはミュージシャンによって様々です。
パフォーマンとしてあえて複雑なフォームで演奏するミュージシャンもいますが、ここでは洗練された技術を聴くだけではなく見ることも重要だということを覚えておいてください。
楽器とイメージトレーニング
まずはトッププロたちの洗練された演奏技術・表現方法を研究しましょう。次に自分の課題となる音楽訓練を実際に物理空間で練習する前に、その課題となる訓練または曲を頭の中で自分自身がトップアーティスト並みの演奏をしている姿をイメージしましょう。これなら仕事の通勤中や、空き時間などでもできます。
イメージトレーニングによる楽器演奏能力の向上
さらに、楽器演奏者のイメージトレーニング効果を裏づける研究として、ハーバード大学のパスカル・レオーネ教授らは興味深い実験を行いました。
まったくピアノを弾いたことのない人を3つのグループに分けて、毎日2時間ピアノの練習をするグループ。毎日2時間実際にピアノを弾いてる指の動きを思い浮かべるイメトレグループ。とくに何も練習せず普段どおり過ごすグループ。期間は5日間。
5日間後に、指の動きをつかさどる脳部位の神経細胞の働きの変化を調べました。
もちろん神経細胞の働きがもっとも向上したのは、毎日2時間練習したグループ。
しかし意外にも、イメージトレーニングだけのグループにも神経細胞の働きの向上が見られました。
ピアノを触ってないのに、イメージするだけで脳の機能が向上し、指の早く正確に動かせるようになったのです。
しかも、その実験終了のあとにイメージトレーニンググループに実際にピアノの練習を2時間してもらったところ、実際にピアノを5日間2時間練習したグループと同等の神経細胞の向上が発見されたのです。
もちろんピアノを弾くために使われる筋肉の身体的成長に多少差があるのかもしれませんが、神経細胞レベルでは同等。
この実験の大事なところは、”イメージすることができた”ということです。
つまりイメージする材料が脳の中にあったわけで、良い演奏、プレイを見ることの重要性が改めてわかります。
結果として、物理的な練習と、イメージトレーニングを組み合わせることによって、多大なトレーニング成果が得られると言えます。
楽器初心者の方で覚えたいフレーズや曲がありましたら、まずはそのフレーズを口ずさめるくらい覚えてしまうこと。そこから頭の中で流れてるフレーズに合わせて自分が演奏しているイメージをすることで、今までより早く覚え(暗譜)られると思います。
ギター初心者のためのイメージトレーニング方法
ギタリストだったらよく指板をイメージしろ、とよくいわれたことあるかと思います。まず慣れるまでは、ドの音は○弦の○フレットと○弦の○フレット・・・というように特定の音を頭の中で探すだけでも十分な訓練になるでしょう。
よくメジャーなギタリストの方でギターソロに入ると、口をパクパクさせて、口ずさみながらソロを弾く人がいます。あれは頭の中のイメージメロディを口ずさみながら、実際の身体運動とリンクしている瞬間なんです。
最初は特定の音を指板でイメージする、次はランダムで思った音、次はスケールを、というふうにイメージトレーニングの段階を徐々に上げていきましょう。物理的な練習だけではなく、イメトレ筋を鍛えることも大切です。