今回は、ドミナント系フレーズにも対応する【ホールトーン・スケール】を解説します。
フランスの作曲家”ドビュッシー”が広めたスケールでもあり、サウンドの特徴は抽象的で不思議な響きを感じさせます。
ホールトーンスケールとは?
キーをCメジャーと考えた場合、ドミナントコードのルート音はソになります。
オルタードスケールと同様に、Gのホールトーンを取り上げ見ていきましょう。
ソ、ラ、シ、ド#、レ#、ファ
ホールトーンはシンメトリカル・スケール
ホールトーンスケールとは、すべて全音のインターバルで構成された、6音からなるスケールです。
特殊なスケールであり、どの音も均等に割ってあり対等な関係であるがゆえに、どの音で伸ばしても落ち着いた感じがしません。
構成音・・・Tonic、2nd、3rd、#4th、#5th、♭7th
使用コード例・・・ドミナント7th、オーギュメント
(#6thは♭7thと同音のため省略)
このように、規則的なパターンで音が並びおんでいるスケールを”シンメトリカル・スケール”と呼びます。
シンメトリカルスケールは、メジャーの明るい雰囲気、またはマイナーの暗い雰囲気がなく、無調性のスケールです。
実際の使用頻度はドミナント7thコード上が多いスケールでもあります(キーがCメジャーだとG7コード)。
ホールトーン/名前の由来
ホールトーンのホールは、一見すると「穴」と日本語で捉えてしまいそうですが、ホールトーンスケールの英語訳は”Whole tone Scale”になります。
この「Whole」は全体や全部という意味を持っており、音楽の世界ではそれが全音(1音)に値して、日本語訳名は”全音音階”となります。
*半音は”Half tone”となる
ホールトーンスケールは、ギター指板のフレットで考えると、2フレット間隔のインターバルで並んでいます。
1オクターブは12音、つまり12フレットありますから、均等に6分割したのがホールトーンスケールになります。
つまりは、全音のみで構成されているということは、C音から始まるホールトーンスケールと、C#音から始まるホールトーンスケールの2種類が、この世に存在するホールトーンスケールの全ての音列と言えます。
ホールトーンスケールとaug(オーギュメント)コード
実は、このホールトーンスケールを使用して、augコードを構成することが可能です。
ここでもGホールトーンスケールを使用して、Gaugコードを見ていきましょう。
*aug・・・augmented(増三和音)、完全5度が増5度になったコード
Tonic・・・ソ
2nd・・・ラ
3rd・・・シ
#4th・・・ド#
#5th・・・レ#
♭7th・・・ファ
作りはとても単純で、GホールトーンスケールのTonic(1度)、3rd(メジャー3度)、#5th(増5度)を取り出して積み重ねます。
さらに♭7th(マイナー7度)の音も加えれば、aug7コードとなります。
実際に、ギターでaugコードを押さえる時に使用するコードフォームはこのようになります。
こちらは6弦がルートのGaug7コードになります。
そのため、ドミナント7thコードと同様に、augコード時にも使用されるスケールでもあります。
実際にホールトーンスケールを使用して演奏する場合は、ドミナント7thコード(またはaugコード)のテンションとして、#11th(#4th)、#5thを弾くという感覚で弾いたほうが、コード進行の調性も保たれ、聴感上もスムーズな印象になりやすいと思います。
ギターtab譜で覚えるホールトーンスケール
それでは、実際にホールトーンスケールをギターで弾いてみましょう。
ここでは、音を重複せずにスムーズに指板が活用できる、3ノート(1弦につき3音)ポジションを2つご紹介します。
ホールトーンスケール/ポジション1
ポジション1では、6弦3フレットを左手人差し指で始めるGホールトーンスケールになります。
運指においての左手指使いは、3ノートに対して、人差し指、中指、小指の使用を推奨します。
行きは上昇フレーズ、帰りは下降フレーズになります。
ホールトーンスケール/ポジション2
ポジション2では、5弦10フレットを左手人差し指で始めるGホールトーンスケールになります。
ポジション1と同様に、運指においての左手指使いは、3ノートに対して、人差し指、中指、小指の使用です。
おわりに
今回はホールトーンスケールを解説しました。
オルタードスケールと同様に、ジャズでも使用されるスケールです。ぜひギター上達のために覚えておきましょう。